人間ではなくアルゴリズムが支配する未来

近代から現代にかけて、人類は自らの想像力の産物でもある「神による支配」を覆し、人間の命と情動と欲望を神聖視する「人間至上主義革命」を引き起こしたといわれている。人間至上主義の一環として派生したのが、自由主義、社会主義、進化論的人間至上主義…

発想力を高める方法

奥山(2019)は、クリエイティビティを発揮し、発想力を高める方法として、「自分の手で、目の前の紙に「絵」を描くこと」をお勧めするという。手で絵を描くうちに、ぼんやり頭に浮かんでいるだけだったアイデアが、次第に輪郭を帯びて、明確になってくること…

「デザイン」の本質

デザインはビジネスにとって必要不可欠な要素である。奥山(2019)によれば、デザインとは、「モノ」自体のコンセプトを立案し、開発からマーケティングまで、全体の枠づくりを目指す仕事である。別の言い方をすれば、デザインとは、人間が自分たちの生活を良…

「意味のウェブ」が可能にした想像上の秩序

ハラリ(2018)は、人間(人類、サピエンス)が世界を支配しているのは、彼らだけが共同主観的な意味のウェブ、すなわち、彼らに共通の想像の中にだけ存在する法律やさまざまな力、もと、場所、のウェブを織りなすことができるからだと指摘する。人間以外の生…

未来からやってきた数学理論「宇宙際タイヒミュラー理論」とは何か

宇宙際タイヒミュラー理論(Inter-Universal Teichmüller Theory: IUT理論)とは、京都大学の望月新一教授が整数論の非常に難しい予想問題である「ABC予想」に関連して発表した理論で、一般的な数学のパラダイムの枠内では語れない、あまりにも斬新なもので…

なぜ数学が役立つのか

私たちは小中高と、ほぼ義務的に算数、数学を勉強する(勉強させられる)。その渦中にいると、とりわけ受験対策で忙しくなるならば、何のために数学を勉強する必要があるのか考える余裕さえなくなるだろう。その点において、西成(2019)は、数学がいかに役立…

認識論としての正規分布

確率論的視点というのがある。これは、世の中の物事に絶対はなく、すべての出来事は確率的に生起するのであり、多くの場合それは正規分布に従うといったような視点である。量子力学では決定論と決別し、素粒子の存在を確率論的に扱っている。そして、アイン…

自然科学で人間を理解することは可能なのか

自然科学は、人類のこれまでの発展に大きく寄与してきた。自然科学は、自然すなわち物質世界を扱う学問で、人間の営みを対象とする人文科学や社会科学と区別される。であるから、直感的に、自然科学で人間を理解することは可能かと聞かれれば、ノーと答えた…

ビジネスプロデュースとは何か

三宅・島崎2015)は、小粒な新規事業ではなく、数千億円規模のビジネスを創造することを「ビジネスプロデュース」と呼ぶ。三宅・島崎によれば、ビジネスプロデュースとは「社会的課題を取り込み、それを解決する形での業界を超えた構想を描き、その実現に向け…

自然科学としての言語学

言語学は、文学部などで学ぶ分野であって、どちらかというと文科系の学問であると従来から考えられている。しかし、酒井(2019)は、自然科学としての言語学を始めた確立した人物としてノーム・チョムスキーをとりあげ、チョムスキーの理論に基づく言語脳科学…

機能主義社会学と意味の社会学は統合可能か

大澤(2019)は、社会学とは「社会秩序はいかにして可能か」を固有の主題とする学問であると前置きした上で、社会学の理論の基本的なスタイルが確立された時代の代表的な学派としてパーソンズによって切り拓かれた機能主義を、そして機能主義を批判する立場か…

シュレディンガー方程式をざっくりと理解してみる

シュレディンガー方程式は、量子力学の中でも核となる方程式である。この世の物質世界の根源ともいえる人間が直に認識できない微小の世界を扱う量子力学の世界の概念を直観的に理解することは容易ではない。そこで必要となってくるのが、数学的な理解である…

価値主導型キャリアの時代

佐藤(2017)は、これからの時代に必要なキャリアの考え方として、資本主義やお金の役割がどう変わっていくかという視点を基づき、価値主導型のキャリア、すなわち資本主義から価値主義へと変化した後のキャリアのあり方についての議論を展開している。佐藤が…

アインシュタインの一般相対性理論をざっくりと理解してみる

前回の記事で、特殊相対性理論のざっくりとした理解を試みた。今度は、一般相対性理論をざっくりと理解できるかどうか試してみる。 アインシュタインの特殊相対性理論をざっくりと理解してみる - ゼミのページへようこそしかし、特殊相対性理論で扱う数学(…

アインシュタインの特殊相対性理論をざっくりと理解してみる

竹内(2013)を参考に、数学のレベルとしては比較的平易だと言われているアインシュタインの「特殊相対性理論」をざっくりと理解してみよう。特殊相対性理論を理解するための1番大きなポイントは、「どの慣性系でも物理法則は同じ形で表される」という原理を…

アメリカ民主党が有権者にうまく訴えられなかった理由:道徳の社会的直観モデルから

ハイト(2014)は、アメリカで民主党が1980年以来しばらく有権者にうまく訴えられなかった理由、そして共和党が民主党よりも効果的に有権者に訴えることができた理由を、道徳の社会的直観モデルによって説明しようとしている。まず、ハイトは、道徳とはすなわ…

世界を正しく見る習慣をつけるために克服すべき10の思い込み

ロスリング、ロスリング、ロスリング・ロンランド (2019)は、貧困、富、人口、出生、死亡、教育、保険、ジェンダー、暴力、エネルギー、環境などの世界にまつわる事実について、医学生、大学教授、科学者、企業役員、ジャーナリスト、政治家など、ほとんどの…

商品という実に神秘的な存在

私たちは、「商品」という言葉を目にしても、なんら特別な印象を抱くことはない。ごくありふれた用語としか映らないであろう。しかし、マルクスの資本論については、商品というものがいかに神秘的で奇怪なものかについての議論から入ることを佐々木(2018)は…

経済を動かしているのは地理である

宮路(2017)は、地理とは地球上の理であり、地理とは現代社会そのものを学ぶ科目であり、経済を動かしているのは地理であるという。地理は学ぶ分野が多岐に渡りすぎていて、一体何を学ぶのかが見えにくい教科であるが、実は、多くの事項を学んでいく中でこれ…

「一呼吸おいて儲ける」黄金法則

田中(2018)は、会計をメインとするビジネスの世界史を概観するなかで、「一呼吸おいて儲ける」ことの有用性を、儲けの黄金法則すなわち商売を成功させる秘訣として紹介している。これは、例えば何らかのブームがビジネスで起こったときに、遅れるなとばかり…

イタリア・オランダ・イギリス・アメリカを舞台とする会計の歴史

田中(2018)は、世界においていかに会計が発達して現在までに至ったのかを、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカを舞台とした歴史的ストーリーを展開することで分かりやすく解説している。非常にシンプルにこの会計の世界史を表現するならば、事業を営む…

ハーバード流 ファイナンスで学ぶ人生設計

金融業界やファイナンスというような言葉を聞くと、拝金主義で強欲資本主義の片棒を担ぐ人々の集まりのような印象を受ける人がいるかもしれない。しかしデサイ(2018)は、ファイナンスこそが、現代社会において善い人生を送るための知恵を与えてくれるもので…

マルクス式知的生産のレッスン

的場(2018)は、マルクスを学ぶことは総合的な学問の技法を学ぶことにつながるという。さらに言うと、神学とマルクスを学べば理論的な喧嘩には絶対に負けない。鬼に金棒だというのである。何故ならば、基本的に西洋のすべての学問はいったん神学へとさかのぼ…

戦略駆動型の独学システム

山口(2017)は、知的戦闘力を高めることを目的とする独学を「システム」として捉える方法を提唱している。それは、独学を「戦略」「インプット」「抽象化・構造化」「ストップ」という4つのモジュールで構成される動的なシステムの中で処理していくという方…

重力の正体

松原(2017)は、アインシュタインの一般相対性理論は、重力という力を時間と空間の性質によって説明してしまうという。これはニュートンの万有引力の法則による重力の説明とは大きく異なることであり、今となっては一般相対性理論のほうが明らかに正しい。そ…

時間とはなにか−物理学による答え

松浦(2017)は、時間とは何かという深淵な問いに対して、物理学の発展の歴史を紐解きながらそれに対する回答を解説している。時間は、直感的に考えると、方向性をもって過去から未来へと流れるもののように思える。しかし、松浦によれば、そもそも時間をどの…

資本の回転による時間の変容と空間の再編

現代社会は資本主義社会である。そういうからには、この世界を動かしている主役は「資本」である。では、資本はいかなるメカニズムをもって、この世界を変えてきたのだろうか。この点に関して、熊野(2018)はマルクス資本論を解説しつつ、資本制においては、…

資本論の存在論・認識論

現代は資本主義の社会だと言われている。この社会には流通市場があり、商品があり、貨幣がある。そして、資本主義である以上、資本がある。しかし、私たちが物理的な存在に対して、川がある、石があるというのとは少し異なり、流通市場も、商品も、貨幣も、…

脳の探求システムが活性化されることで生き生きと働くようになる

職場で従業員が生き生きと働いていない、エンゲージメントが低いなど、悩みをかかえる個人や組織は多い。その原因は何かについて、Cable (2018)は、本来人間が進化の過程で身に着けた生物学的な脳の機能が活性化されていないからだと示唆する。心理学的とい…

意味のある仕事で毎日小さな前進を積み重ねることの重要性

アマビールとクレイマー(2017)は、私たちが働くうえで、クリエイティビティ、生産性の向上、コミットメントの増大、良い人間関係を生み出すために重要なのが、私たちの内面的な仕事経験(インナーワークライフ)を充実させることであるという。インナーワー…