2020-01-01から1年間の記事一覧

なぜミクロ経済学とマクロ経済学は統合されないのか

経済学は、社会科学の中でもとりわけ、物理学に代表される自然科学的なアプローチを模した学問であるとよく言われる。物理学の世界では、ニュートンのころにはすでに、天上界を支配する現象と、地上界を支配する現象を、統一した法則によって説明することに…

リアル中国史概説

私たちが中国史を考える際、どうしても日本とのつながりを中心に、日本側から中国大陸を眺めることになるので、海を挟んだ隣国の中国は、太古より強大な統一国家で、アジアの覇権国家であったというようなイメージを持ちがちである。しかし、岡本(2019)によ…

ユーラシア全域と海洋世界から眺める「新しい世界史」

岡本(2018)は、世界史における西洋中心史観を批判し、西洋中心史観で焦点が当てられている世界史の時系列と地域空間を見直すことで、西洋史観に基づかない「時代区分」と中央ユーラシアを舞台とする「東西交渉史」を組み合わせた「新しい世界史」の構想を試…

現代経済学とは何か

瀧澤(2018)は、20世紀半ば以降、この半世紀の間に経済学は大きく発展し、経済学とは何かという問いに対して「経済現象と対象とし、それを解明する学問」と単純に回答するのに大きな戸惑いを感じるようになっているという。つまり、経済学の急速な変化と多…

21世紀アジアのグローバルバリューチェーンと日本の立ち位置

後藤(2019)によれば、雁行形態論が示す通り、日本は20世紀後半にはアジア経済ダイナミズムの中心にいたが、21世紀になるとアジアは多極化時代を迎えた。後藤が示す統計データによると、世界におけるアジアのGDP比率は、1968年の10%から、2018年には28%に…

20世紀アジアの雁行形態型発展モデルとは何か

後藤(2019)によれば、雁行形態型発展モデルは、第二次世界大戦後の20世紀のアジアにおける日本の経済発展プロセスとアジア諸国との関係を説明するのに有用なモデルである。戦後の歴史を振り返るならば、様々な国際政治経済的な要因が重なり、アジアの中で…

ブラック–ショールズ理論をざっくりと理解してみる

今回は、教養としてブラック-ショールズ理論を捉え、ざっくりとブラック―ショールズ方程式を理解してみようと思う。ブラック―ショールズ理論といえば、金融派生商品の価格付けの基礎となる理論で、ノーベル経済学賞につながった金融工学の理論でもあるので…

アジアはいかにして現在のアジアになったのか

岩崎(2019)は、世界人口の約6割を抱え、広大な面積を占めるアジアについて、東アジア、東南アジア、南アジアのサブ地域に区分し、2300年ほどのアジア史を各国史ではなく一体のものと捉え、アジアの内部勢力(自律)と外部勢力(他律)の相克と共同、その結…

妄想から始めよー目に見えない停滞感を打ち破るビジョン思考

佐宗(2019)は、ビジネスや企業経営における思考法の領域では、これまで、カイゼン思考、戦略思考、デザイン思考が存在していたという。しかし、PDCAサイクルで回していくカイゼン思考は、不確実性の高いVUCAやAIなどによる自動化の時代には弱く、戦いに勝…

成功とは集団的現象である

私たちは、成功したいと願い、成功を目指して努力をするし、実力を身に着けようとする。しかし、知っておくべきことがある。バラバシ (2019)によれば、成功とは「個人的なものではなく集団的なものであり、あなたが属する社会の反応を必要とする」ということ…

生命は誕生するものではなく、死んだこともない

池田(2019)は、現代の生物学の知識を用いて、生命とは何かについての解説を行っている。それによると、子供が生まれる時などに一般的に使われる「新しい生命が誕生した」という表現は、生物学的には正しくない。何らかの物質が絡み合って生命が誕生するわけ…

私の内部で時間は流れ、その時間の中で私は存在する

私たち人間は、石器時代に完成したハードウェア(脳、認知機能)と、人類が生み出した言語や数学といった道具を組み合わせて世界を認識している。そのような人間が、絶対空間の中の「平らな地面」で暮らし、「絶対的な時間が過去から現在、未来へと均一に流…

無期限の品質保証書を有する数学の特殊性

現代科学の発展により、人間は、自分では認識できない微小の世界から巨視の世界まで理解することが可能になった。その原動力となったのが、間違いなく数学である。言い換えれば、数学という特殊な性格を持った学問が、人間がこの世界を認識する能力を格段に…

時間は本当に存在しないのか

人間は、自分の周りの世界に適応するために思考や言語を発達させ、それらを生活の道具として用いてきた。それらの最も基本的な概念には、物、事、時間、空間、自然数などが含まれ、これらの基本概念を用いて世界を理解しようとしてきたのである。これらの概…

人間ではなくアルゴリズムが支配する未来

近代から現代にかけて、人類は自らの想像力の産物でもある「神による支配」を覆し、人間の命と情動と欲望を神聖視する「人間至上主義革命」を引き起こしたといわれている。人間至上主義の一環として派生したのが、自由主義、社会主義、進化論的人間至上主義…

発想力を高める方法

奥山(2019)は、クリエイティビティを発揮し、発想力を高める方法として、「自分の手で、目の前の紙に「絵」を描くこと」をお勧めするという。手で絵を描くうちに、ぼんやり頭に浮かんでいるだけだったアイデアが、次第に輪郭を帯びて、明確になってくること…