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機能主義社会学と意味の社会学は統合可能か

大澤(2019)は、社会学とは「社会秩序はいかにして可能か」を固有の主題とする学問であると前置きした上で、社会学の理論の基本的なスタイルが確立された時代の代表的な学派としてパーソンズによって切り拓かれた機能主義を、そして機能主義を批判する立場か…

シュレディンガー方程式をざっくりと理解してみる

シュレディンガー方程式は、量子力学の中でも核となる方程式である。この世の物質世界の根源ともいえる人間が直に認識できない微小の世界を扱う量子力学の世界の概念を直観的に理解することは容易ではない。そこで必要となってくるのが、数学的な理解である…

価値主導型キャリアの時代

佐藤(2017)は、これからの時代に必要なキャリアの考え方として、資本主義やお金の役割がどう変わっていくかという視点を基づき、価値主導型のキャリア、すなわち資本主義から価値主義へと変化した後のキャリアのあり方についての議論を展開している。佐藤が…

アインシュタインの一般相対性理論をざっくりと理解してみる

前回の記事で、特殊相対性理論のざっくりとした理解を試みた。今度は、一般相対性理論をざっくりと理解できるかどうか試してみる。 アインシュタインの特殊相対性理論をざっくりと理解してみる - ゼミのページへようこそしかし、特殊相対性理論で扱う数学(…

アインシュタインの特殊相対性理論をざっくりと理解してみる

竹内(2013)を参考に、数学のレベルとしては比較的平易だと言われているアインシュタインの「特殊相対性理論」をざっくりと理解してみよう。特殊相対性理論を理解するための1番大きなポイントは、「どの慣性系でも物理法則は同じ形で表される」という原理を…

アメリカ民主党が有権者にうまく訴えられなかった理由:道徳の社会的直観モデルから

ハイト(2014)は、アメリカで民主党が1980年以来しばらく有権者にうまく訴えられなかった理由、そして共和党が民主党よりも効果的に有権者に訴えることができた理由を、道徳の社会的直観モデルによって説明しようとしている。まず、ハイトは、道徳とはすなわ…

世界を正しく見る習慣をつけるために克服すべき10の思い込み

ロスリング、ロスリング、ロスリング・ロンランド (2019)は、貧困、富、人口、出生、死亡、教育、保険、ジェンダー、暴力、エネルギー、環境などの世界にまつわる事実について、医学生、大学教授、科学者、企業役員、ジャーナリスト、政治家など、ほとんどの…

商品という実に神秘的な存在

私たちは、「商品」という言葉を目にしても、なんら特別な印象を抱くことはない。ごくありふれた用語としか映らないであろう。しかし、マルクスの資本論については、商品というものがいかに神秘的で奇怪なものかについての議論から入ることを佐々木(2018)は…

経済を動かしているのは地理である

宮路(2017)は、地理とは地球上の理であり、地理とは現代社会そのものを学ぶ科目であり、経済を動かしているのは地理であるという。地理は学ぶ分野が多岐に渡りすぎていて、一体何を学ぶのかが見えにくい教科であるが、実は、多くの事項を学んでいく中でこれ…

「一呼吸おいて儲ける」黄金法則

田中(2018)は、会計をメインとするビジネスの世界史を概観するなかで、「一呼吸おいて儲ける」ことの有用性を、儲けの黄金法則すなわち商売を成功させる秘訣として紹介している。これは、例えば何らかのブームがビジネスで起こったときに、遅れるなとばかり…

イタリア・オランダ・イギリス・アメリカを舞台とする会計の歴史

田中(2018)は、世界においていかに会計が発達して現在までに至ったのかを、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカを舞台とした歴史的ストーリーを展開することで分かりやすく解説している。非常にシンプルにこの会計の世界史を表現するならば、事業を営む…

ハーバード流 ファイナンスで学ぶ人生設計

金融業界やファイナンスというような言葉を聞くと、拝金主義で強欲資本主義の片棒を担ぐ人々の集まりのような印象を受ける人がいるかもしれない。しかしデサイ(2018)は、ファイナンスこそが、現代社会において善い人生を送るための知恵を与えてくれるもので…

マルクス式知的生産のレッスン

的場(2018)は、マルクスを学ぶことは総合的な学問の技法を学ぶことにつながるという。さらに言うと、神学とマルクスを学べば理論的な喧嘩には絶対に負けない。鬼に金棒だというのである。何故ならば、基本的に西洋のすべての学問はいったん神学へとさかのぼ…

戦略駆動型の独学システム

山口(2017)は、知的戦闘力を高めることを目的とする独学を「システム」として捉える方法を提唱している。それは、独学を「戦略」「インプット」「抽象化・構造化」「ストップ」という4つのモジュールで構成される動的なシステムの中で処理していくという方…

重力の正体

松原(2017)は、アインシュタインの一般相対性理論は、重力という力を時間と空間の性質によって説明してしまうという。これはニュートンの万有引力の法則による重力の説明とは大きく異なることであり、今となっては一般相対性理論のほうが明らかに正しい。そ…

時間とはなにか−物理学による答え

松浦(2017)は、時間とは何かという深淵な問いに対して、物理学の発展の歴史を紐解きながらそれに対する回答を解説している。時間は、直感的に考えると、方向性をもって過去から未来へと流れるもののように思える。しかし、松浦によれば、そもそも時間をどの…

資本の回転による時間の変容と空間の再編

現代社会は資本主義社会である。そういうからには、この世界を動かしている主役は「資本」である。では、資本はいかなるメカニズムをもって、この世界を変えてきたのだろうか。この点に関して、熊野(2018)はマルクス資本論を解説しつつ、資本制においては、…

資本論の存在論・認識論

現代は資本主義の社会だと言われている。この社会には流通市場があり、商品があり、貨幣がある。そして、資本主義である以上、資本がある。しかし、私たちが物理的な存在に対して、川がある、石があるというのとは少し異なり、流通市場も、商品も、貨幣も、…

脳の探求システムが活性化されることで生き生きと働くようになる

職場で従業員が生き生きと働いていない、エンゲージメントが低いなど、悩みをかかえる個人や組織は多い。その原因は何かについて、Cable (2018)は、本来人間が進化の過程で身に着けた生物学的な脳の機能が活性化されていないからだと示唆する。心理学的とい…

意味のある仕事で毎日小さな前進を積み重ねることの重要性

アマビールとクレイマー(2017)は、私たちが働くうえで、クリエイティビティ、生産性の向上、コミットメントの増大、良い人間関係を生み出すために重要なのが、私たちの内面的な仕事経験(インナーワークライフ)を充実させることであるという。インナーワー…

すべての人が備える創造性を発火させる「イノベーション・エンジン」

シーリグ(2012)は、私たちの身のまわりのあらゆるものが創造性を発揮するチャンスになり、創造性があれば、たえず変化する世界を生き抜き、可能性を広げることができると主張する。創造性が高まれば、問題ではなく可能性だと捉え、障害ではなくチャンスだと…

地政学の考え方

地政学とは何か。佐藤(2016)は、「われわれの記録に残る人類の歴史がはじまってから、これで千年になる。が、この間に、地球上の重要な地形はほとんど変化していない」というマッキンダーの一文を紹介しつつ、時間を経ても変化しにくい地理的要因を基本に、…

自分自身の人生を切り拓くための「起業家的スキル」

シーリグ(2016)は、自分が「こうありたい」と思い描く未来にたどりつくためには、まず「起業家的心構え」が重要だと説く。起業家的態度とは、「チャンスは身のまわりにあふれていて、自分次第で運は拓ける」と考える態度である。必ずしも実際に会社を興すよ…

虚構を信じる力が人類社会の発展を可能にした

なぜ私たち人類はこの世の中にこれほどまでに高度に発達した社会システムを地球上に作り上げることができたのであろうか。これに関して、ハラリ(2018)は、私たち人類の祖先は数十人からなる小さな生活集団で何百万年も進化してきたので、大規模な協力のため…

闘うための哲学書案内

小川・萱野(2014)は、ものごとの本質を言葉をつかって批判的、根源的に探究していく学問である哲学について、22冊の古典を紹介しながら、混迷の時代を闘い抜く知を身に着けるヒントを提供しようとしている。いわば、人生を闘うための哲学書ガイドを提供し…

すでにあるリソースを最大限に活用して優れた成果を出す

ソネンシェイン(2014)は、私たちが持つリソースに制約があっても、「すでにあるもの」だけでもっと成果をあげ、もっと強い組織を築き、もっと仕事を楽しみ、もっと大きな幸福を手にできる考え方があるといい、それを「ストレッチ」という言葉で説明している…

「理性」で読む「西洋美術史」

木村(2017)は、いつも講演で「美術は見るものではなく読むもの」と伝えているという。つまり、美術は「感性」で見るものではなく、「理性」で読むものだというのである。美術史を振り返っても、西洋美術は伝統的に知性と理性に訴えることを是としてきたと木…

重力の正体は粒子や波なのか、それとも全く別のものか

ニュートンが万有引力の法則を発見したことにより、自然科学は劇的に発展した。しかしニュートンは、ただ万有引力があるといっただけで、なぜ離れた物体同士が引き合うのかについての理由を説明しなかった。したがって、古典力学においては、理由はわからな…

なぜ超弦理論では空間が9次元なのか

大栗(2013)は、素粒子理論の最先端でもある超弦理論(あるいは超ひも理論)を、その歴史的背景も含め、分かりやすく解説している。超弦理論は、物質をつくっているのは粒子ではなく、「ひも」のように拡がったものであると考える理論で、重力の働きによって…

入試現代文での小説文問題は客観的分析力を測定するためにある

出口(2014)は、文系理系を問わず受験生が受けるセンター試験のような試験においても現代文で小説が出題されるのは、なにも文学的センスを測定しているわけではなく、客観的分析力や思考力を測定しようとしていることを示唆する。むしろ小説文であるからこそ…