2011-01-01から1年間の記事一覧

論理的思考は直観思考

小田(2011)は、論理「的」思考は、実は「論理」によく似た直観思考(原文では直感思考)なのではないかと指摘する。論理的とは、論理そのものではないからである。つまり、論理的思考は、日頃から「論理」を使って考える練習を積み重ねることで鍛えられた直…

人間は本当に自由意志を持っているのか

「自由」というのは、人間の本質とも関連し、人間の歴史でも重要な概念である。実際、これまでの人類の歴史は、人々が自由を勝ち取ってきた歴史であるとう見方もできよう。しかし、人間は本当に自由に物事を決めることができるのか、それとも結局はなにかに…

数学から学ぶ論理思考(ロジカル・シンキング)

算数や数学の問題を解くときは、まず試行錯誤によって論理構造を組み立て、組み立てたものが論理のルールにそっているかチェックし、間違いがなければ答案に解答を書いていく。学問の世界や日常で論理的に考える場合にも類似したプロセスが用いられる。論理…

ユニクロが目指す「日本の新しい会社」

柳井(2011)によれば、ファーストリテイリング・グループでは2010から「民族大移動」と銘打った人事清濁をスタートしているという。これは、海外のグループ企業も含めた国境を越えた人事交流を活発化させ、10年後には、日本の本部社員の半分以上は外国籍の人…

人生に無駄なし

NHK出版「仕事学のすすめ」において、秋元康氏のコメントとして「人生に無駄なし」というのが紹介されている。どんなに不遇なことがあっても、どんなに無駄なことをしてきたかのように思えても、人生において無駄なことは一切ない。すべてが意味のあることな…

グローバルで成功している会社は実はローカルくさい

波頭・冨田(2011)は、業績が好調でうまく国際化が進んでいる企業の典型は、都会っぽくない会社が多いと指摘している。たとえば、YKKとコマツはどちらも北陸に本社がある。トヨタもずっと豊田市に本社を構える地方の会社である。グローバルに成功している会社…

会社が内包する資本本能と組織本能

波頭・冨山(2011)は、会社が内包する2つの本能の相克もしくはパラドクスが経営の本質を象徴していると示唆する。その2つとは、資本の本能と組織の本能である。 そもそも会社は原義的にいえば資本が利益をあげるための仕組みである。つまり、世の中に経済的な…

時代を切り拓く一身独立のリーダーシップを身につけるには

冨山(2010)は、自身が元・産業再生機構のCOOでありながら「日本国自身が、今度は史上最大の再生案件になりつつある」と憂いている。その中で新しい時代を切り開いていくために期待されているのが「真のリーダー」の登場であるという。さらにいえば、パラダイ…

営利企業は優れた非営利組織から学ぼう

ルブリン(2011)は、非営利組織が営利企業に教えられることはたくさんあるという。なぜかといえば「人材も、費用も、職場も、仕事相手も、すべて、少ないものから多くを生みだすのが非営利組織」だからである。たしかに、限られた資源を最大限に活用して大き…

言語は人間のみに備わった能力なのか

酒井(2002)は、言語をサイエンスの対象とする認知脳科学の視点から、言語を特徴づける自然法則性を持つ本質は「文法」であり、この文法は、人間の脳に生得的に備わっている能力によって規定されているという考え方を紹介している。つまり、言語は学習によっ…

「カイシャ維新」は実現するか

冨山(2010)は、日本の過去の経済成長をけん引してきたカイシャ・モデルが果たす役割は20年以上前に終焉を迎えていることを指摘し、この古いモデルを解体し日本が新たな道を歩むための「カイシャ維新」の方向性を唱えている。1990年代以降、カイシャ・モデル…

世界一のビジネススクールで何を学ぶのか

ブロートン(2009)は、英国人ジャーナリストを経て、名実ともに世界一のビジネススクールといってもよいハーバードビジネススクール(HBS)に留学した経験から、まさに世界の財界を牛耳る卒業生を輩出してきたHBSにはどのような人が入学してくるのか、…

ビジネスモデル・イノベーション

ビジネスモデルの空白を狙う「ホワイトスペース戦略」を提唱するジョンソン(2011)は、ビジネスモデルの4要素を説明するとともに、ビジネスモデル・イノベーションを成功させる方法を説いている。 ジョンソンによれば、ビジネスモデルは「ビジネスが顧客と自…

「仕組み型」マネジメントの教科書

山本(2011)は、自らの経験に基づき、「仕組み」を構築し「仕組み」を回すことで、マネジメントを成功させる方法を提案している。では、マネージャーはどのようにして部下を含むチーム全体が回っていく仕組みを作ることができるのだろうか。ここでは、本書か…

「ハイパー消費」から「コラボ消費=シェア」へ

ボルツマンとロジャース(2010)は、これまでの現代社会を「ハイパー消費主義」という概念で象徴するとともに、これからの時代を象徴する「コラボ消費」「共有=シェア」の方向性を解説している。彼らによれば、現代を生きる私たちは「ハイパー消費」の環の中…

言語学=物理学である。

酒井(2006)は、チョムスキーを「科学に最も大きな貢献をした言語学者の一人であり、現代の人間観を創造した」と紹介している。チョムスキーは、限られた言語の要素から無限に文を生み出す(生成する)ときの法則に着目する「生成文法」を提唱した。この革命…

哲学と宗教

現代は科学至上主義のような風潮があるが、人間にとって科学ではなくとも重要な思想が、哲学と宗教である。高校倫理の教科書(小寺[編]2011)では、「自分が今、ここに生きていることの驚きや不思議さ」から哲学することを勧め、以下のような説明を加えてい…

幾何学は「図」ではなく「論理」の学問である

リーバー(2011)は、現代数学のエッセンスをわかりやすく説明する中で、現代数学では幾何学も「図」ではなく「論理」の問題であることを示している。紀元前300年という昔にエウクレイデスによって整理されたユークリッド幾何学は、片手で数えられるほどの「自…

(もういちど)倫理を学ぶ

倫理学の専門家でない一般人が倫理を学ぼうと思ったら、高校の「倫理」の教科書が最適であろう。小寺(編)(2011)の「ふたたび倫理を学ぶみなさんへ」には以下のようなくだりがある。 「人間はいかに生きるべきか」「人生はいかにあるべきか」という問いは、…

学歴社会はなくならないが・・・

最近わが国においても、主要な大学で英語の授業のみで卒業できるプログラムを設置するところが増えている。これはどういうことかというと「優秀な日本人学生に入学してもらいたい」ではなく「優秀な学生が欲しい。優秀であれば国籍は問わない。日本語が話せ…

フーコーの眼差しで現代社会を見る

高校の倫理の教科書(小寺[編」2011)では、フーコーについて、以下のような簡潔な記述がある。 フーコーは近代社会の生み出した知性には、人間を支配する規律の権力が潜んでいると主張し、近代批判を行った。近代社会は学校・軍隊・工場・裁判所・監獄をつ…

日本語の文章力は外国語を学ぶようにして身につける

野内(2010)は、「実用文」としての文章の書き方を学ぶには、「外国語を初めて学んだときの姿勢で日本語を見直す」ことが大切だと説く。なぜなら、書き言葉は話し言葉とは大きく異なり、むしろ「外国語」に等しいからである。とりわけ、こちらが考えているこ…

有意義な人生を送るための「改訂版DEAL」

フェリス(2011)は、ニューリッチという概念を提唱し、DEALの法則を説いている。ここでは、これを咀嚼したうえで、よりよい人生を送るための改訂版DEALの法則を示してみよう。 人間なら誰しも、よい人生を送りたいと願っている。では、どうすれば実り…

組織行動論リサーチトピックス

ジョブ・クラフティング研究 どのような要因がジョブ・クラフティングを誘発するのか。ジョブ・クラフティングがもたらす帰結は何か。 職務特性および個人属性との関係、組織コミットメントとの関係 LMXとキャリア・デベロップメント LMX(上司と部下…

縄文革命は人類最大の革命か

人類最大の革命は、産業革命でも、IT革命でもない。おそらく、縄文革命ではなかろうか。縄文時代の大きな特徴は、縄文式土器の登場である。林(2008)によれば、土器の登場は、人類にとって「大事件」ともいえる画期的な発明であった。なぜかといえば、粘土作…

ラテラル(水平)思考のテクニック

これからの時代は、他人には思いつかない斬新な発想の価値が高く、現状からの「意味のある飛躍」をもたらすクリエイティビティが必要になってくる。そのような思考の一翼を担うのが、酒井(2010)も提唱する「ラテラル・シンキング(水平思考)」である。酒井…

「ボケ」と「ツッコミ」の思考技術

酒井(2010)は「ロジカル・シンキング」と「ラテラル・シンキング」を融合した「インテグレーティブ・シンキング」という思考法を提唱している。酒井によれば、ラテラル・シンキングとは、斬新で飛躍のあるアイデアを生む「水平的な」思考法であり、これは漫…

英文校閲の味方「Grammarly」

非ネイティブとしての日本人が英文を書く際には、文法上の間違いやぎこちない言い回しなど、つねに苦労を伴う。 そこで、最近話題なのが、オンラインでの英文法チェック・ツールであるGrammarlyである。http://www.grammarly.com/ 永井孝尚のMM21より http:/…

アイデア創出のメカニズム

倉下(2011)は、ジェームズ・アレンの著作「アイデアの作り方」を参照しつつ、アイデア創出のメカニズムについて、その2つの原理を説明している。 1つ目の原理は、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」ということである。つまり…

プロデューサー型コンピテンシーでキャリアのヨコ展開

田中(2009)は、好きなことを仕事にするためのさまざまな方法を論じているが、その中で本人が実践したものに「能力の横展開」というのがある。つまり、自分の持っている能力(知識やスキル)とビジネスの場での経験を、そのまま好きな分野に横展開すると(そ…