ビジネスモデル・イノベーション

ビジネスモデルの空白を狙う「ホワイトスペース戦略」を提唱するジョンソン(2011)は、ビジネスモデルの4要素を説明するとともに、ビジネスモデル・イノベーションを成功させる方法を説いている。


ジョンソンによれば、ビジネスモデルは「ビジネスが顧客と自社の双方にとっての価値をどのようにして創造・提供するか」を表現したものであるが、それは「4つの箱」という基本要素で構成されるという。1つ目は「顧客価値提案」であり、顧客の未解決のジョブ(問題・課題)を処理するための商品やサービスを一定の価格で提供するという提案である。顧客にとって重要なジョブを、便利に低価格で解決できるような提案の価値が高い。


2つ目は、利益方程式であり、企業がどのように自社と株主のために価値を作り出すかという青写真である。収益モデル、コスト構造、1単位当たり目標利益率、経営資源回転率で構成される。3つ目と4つ目が、主要経営資源と業務プロセスである。前者は、顧客価値提案を実現するために必要な経営資源であり、後者は、顧客価値を実現するための手段である。


上記をふまえたうえで、企業が成長を維持するために、ホワイトスペースで新しい顧客価値提案を打ち出し顧客の新しいジョブを解決するためには、ビジネスモデルを刷新し、それまでと全く異なるビジネスのプラットフォームを築かねばならないとジョンソンは説く。その手順としては、最初に、顧客にとって未解決な重要なジョブを満足させる方法を考えることによって、新たな顧客価値提案を打ち出すことである。次は、どうやって顧客のジョブを解決させながら利益をあげるかという利益方程式の青写真を描く。そして第3ステップとして、具体的なビジネスモデルに落とし込むための主要経営資源・業務プロセスを準備し、新たなビジネスモデルを導入するのである。