論理的思考は直観思考

小田(2011)は、論理「的」思考は、実は「論理」によく似た直観思考(原文では直感思考)なのではないかと指摘する。論理的とは、論理そのものではないからである。つまり、論理的思考は、日頃から「論理」を使って考える練習を積み重ねることで鍛えられた直観思考なので、「論理」が導き出す出すはずの答えに近い結論を出せるようにしているのではないかという。


そもそも「論理」は、人間が自然に持っているものではなく、人工的に作り出された「道具」であり、機械的な思考回路である。人々は、普段の生活では「論理」を使わず、直感で物事を判断しているわけである。けれども、特定分野のエキスパートなどが短時間で意思決定を行うさいには、実際には「論理」の道筋を飛ばして結論まで飛躍するような直観思考を用いることが多くても、外からみると「論理」を使って考えているように見えるのだと指摘する。なぜなら、導き出される判断や結論がそれに近いからである。


逆に言えば、普段から「論理」に触れていない人が、いきなり明日から論理的思考ができるようにはならない。「論理」に触れた時間の蓄積が必要不可欠なのである。よって、小田は、いつも直感で答えを出しているものに対して、じっくりと考えてみる時間を取ること、そして、すぐに答えを求めず納得するまで考え続ける余裕を持つことの重要性を主張している。