「人を見抜く」採用面接テクニック

樋口(2009)によれば、採用面接は相思相愛を確認するための場であるから、(1)相手の資質や能力を見抜くこと、(2)相手がどういう会社(職場)であるかを感じ取られるような情報提供をすること、(3)欲しい人材を口説く、という3つの目的がある。その中でも、「人を見抜く」ために重要となるテクニックが、「コンピテンシー面接」である。樋口は「雑談面接」と呼んでいる。


まず、面接で聞くべきことは「過去の行動事実」で、これがすべてである。面接は、過去の行動事実から本人の資質や能力を見抜いて、入社後の再現性を予測するためにある。特に毎日の具体的な行動や習慣にこそ、学生としての資質や器を見ることができる。「学生時代に頑張ったことは?」というような質問は、学生も準備してくるし、ストーリーがきれいすぎたりするのでよくない。それよりも、日常生活になるべく近い話題がよい。日々の仕事は地味なことの繰り返しなのだから、日常の生活習慣からその人の入社後の仕事振りが推察されるだろう。


面接官は、過去の日常的な行動を淡々と聞く。納得できないことがあればしつこく聞く。応募者はそれに淡々と答える。つまり、応募者は事実を話すだけである。「志望動機」や「将来のキャリアパス」は聞く必要がない。採用が決まったあとで聞けばよいことである。


面接官にとって「なぜウチを志望したの?」といったような直接的な質問はダメな質問である。あらかじめ準備された「正解」を言われてはその人の真意を判断できない。それに興味があるならば、応募者の過去の行動事実から推察すればよい。あるいは雑談などで変化球を投げて聞きだす。つまり、面接官はすべて変化球で質問するべきである。