就活の面接で勝つ方法

成毛(2012)は、近年の学生の就活について、学生は苦労しており、「卒論書くヒマないぞ」「就活期間長すぎ」「大学は就職予備校じゃない」といった学生の訴えはもっともだと同意し、就活対策を練るためのヒントを提示している。


まず、どのような会社を選ぶか。成毛は「人気のある仕事を選ぶな。これから人気がある仕事を選べ」という。例えば、今は「川上産業」が狙い目だという。素材はあらゆる分野で必要とされる。特に、穀物は世界で食料争奪戦が起きているからこれから伸びるという。中でも、日本の穀物トレーダーは数が少ない。しかもトレーダーはスペシャリストである。代替の効かないスペシャリストは希少価値が高くなる。「あの人がいなければ仕事ができない」といわれるスペシャリストであればどの時代でも生き残っていけるという。


就活の面接でも、陥りやすい間違いや、面接をパスするコツを成毛は披露する。例えば、社内に入った瞬間に印象に残ったことを伝える。玄関がきれい、窓からの眺めがよい、社内にいい香りがする、廊下ですれ違った社員に挨拶してもらった、など、なんでもよいという。また、就活の面接では、「サークルのリーダーをアピールしてはいけない」という。リーダーシップがある、積極性があるとアピールしたいのだろうが、面接官は心の中で、「またかよ(苦笑)」という程度にしか思っていないという。


就活の面接では緊張してしまうということもあるだろう。成毛のいう緊張しない方法は、まず、「呼ばれたから、来ましたけど」という態度で出向き、まずは、面接会場の隅々まで把握する。面接室にコーヒーなどの飲み物が置いてあったら、「お砂糖ありますか」「お代わりあります?」というように、まるでカフェでお茶しているかのように振る舞う。お菓子は置いていないのかぐらいの態度でいれば、イヤでも目につくだろう。このように、目立つことは就活では大切だという。これは極端だとしても、要は、自然体にしていれば印象に残るということである。


印象に残る就活生として実話から成毛が紹介しているのが、ごっつい顔と太い腕をして全身毛むくじゃらの野人タイプの男子学生。履歴書の特技欄を見ると「柔道四段」とあり、なるほど、見るからに肉体派だと下を見ると、趣味欄に「ピアノ」とあった例。「え、ピアノ?ちょっと、ピアノを弾く真似をしてみて」というと、これまでの無骨の雰囲気が一変、詳細なピアニストの表情になったという例である。芸は身を助くということわざがあるように、芸は就活を助けるという。人とは違う話題を揃えることも大切だという。例えば、歌舞伎。歌舞伎に詳しい日本人は少ないので、外国人に対しても、ちょっと知っているだけでも目立つ。


また成毛は、就活のアドバイスをもらったりするためにも、普段から、大学以外の場所で大人との接点を持つことの重要性を指摘する。武道を習う、茶道をたしなむなど、様々な階層の人がいる趣味の場が狙い目だという。「道」がつく趣味はそれなりの社会レベルにいる人が多いという。また、最近では「囲碁ガール」が注目されつつあると指摘する。囲碁ガールの嗅覚はなかなか鋭く、どこに行けばお金を持っている誰がいるのかを嗅ぎつけているのだと指摘する。囲碁を趣味とする企業の役員は多く、政治家でも囲碁好きは多いので、おじさまたちに取りいれば、就職先は難なく紹介してもらえるかもしれないという。