就職活動をするうえで重要なのは、良い仕事に就けるか、良い職場、良い会社で働けるかということである。では、良い仕事とはどのような仕事を指すのか。また、どのような職場、会社が、良い職場、良い会社だといえるのか。
中沢(2010a)は、長期にわたって本人が努力する限り、成長を助ける仕組みを持っている職場が「良い職場」なのだという。一見すると楽しそうではなく、また事実、肉体的にも精神的にも苦痛を伴うような仕事であっても、十年、二十年という時間軸で考えるとそうでもなかったりするという。つまり、長い時間をかけることにより、達成感や感動を手にすることができる仕事は良い仕事だということである。
また中沢(2010a)は、良い職場には必ずといってよいほど「目標となる人物」がいるという。つまり「ああいう人になりたい」と思える先輩がいるということである。
さらに中沢(2010b)は、人が日々を充実させながら働き続ける会社は、やる気のある人間に、新しいことを覚えるために、チャンスを与え、さまざまな経験をさせる会社であるという。これまでできなかったことができるようになると、人は新しい領域に立つことになる。仕事をつうじていろんなことを経験しつつ学び、人生を重ねる。そういった日々は、人間としての視野あるいは世界が広がっていく日々である。成功体験ばかりでないとしても、困難を克服してビジネスの現場で新しいステージに立っている人はいつも生き生きとしているという。
要するに「頑張る人を支援する。成長しようとする意欲のある人間にその環境をつくる」会社は、「人を大切にする会社」であり、良い会社なのだと中沢は示唆するのである。