自分の「大人げない部分」を大事にしよう

成毛(2009)は、世間の注目を浴びるような飛びぬけた功績を残す人には、子供のまま大人になったような人物が驚くほど多いと指摘する。あやふやでつまらない成熟や常識といったものとはまったく無縁の生き方をしているという。人を惹きつけ、独自の世界を構築し、どこまでも突き抜けていく。この世界を縦横無尽に走り回り、人間くさいがために、多くの人から愛される。この「大人げなさ」こそ、人生を生きるうえで最も重要な要素なのではないかと主張する。


成毛がいう、生きる上で重要で、誰もが内に秘める「望ましい大人げなさ」とは、次のようなものがある。まず「物事に夢中になる」ことである。夢中になれるものを見つけたら、それがどんなに小さなことでもくだらないことでも大事にするということである。次に「興味を持ったことには何でも首を突っ込む」ことである。夢中になることを見つけるために、まずはチャレンジしてみるということである。次に「あまのじゃく」がある。多くの人が考えることと反対のことを考え、実行する。つまり「逆張り」の発想である。あえて反対のことをいうわけだから、その理由を見つけるために「なぜ」を問い続けることが重要になる。それから「無知であることを強みにする」ことである。知らないことをよいことに、時には常識外れの大胆なことをする。自分本来の感性に正直に生きることが、しばしばクリエイティビティや偉大な発見につながる。


日本には、苦労や我慢することは人が成長するために必要だという考えがあるが、我慢なんてしなくていいと成毛はいう。もし我慢を強いられているならば、それが本当に必要なことなのかを問い、自分のやりたいことに向き合うことが大切だと言うのである。個性とは何かなど堅苦しく考える必要もなく「あるがままの自分」でいることが個性である。自分が本来持っている「大人げない部分」に正直になることである。鈍感であることも重要な要素だと成毛はいう。失敗を失敗と思わないような鈍感さを持ちあわせていれば、挫折せずに前向きでいられるし、小さな成功で満足してしまうこともない。自分の納得できるところまで突き進み、大成功を収めることができるのだという。