人を動かす「強い文章力」

川上(2014)は、「強い文章力=相手の心を動かす文章を書く能力」だとした上で、相手を動かす文章をどう書けばよいのかについてのアドバイスを行っている。川上によれば、相手を動かす文章は「何を伝えるか」と「どう伝えるか」の2つの要素から成り立つ。また、文章を書くときは「誰にどんな行動をとってほしいか」「そのために何を書くべきか」「どのような表現をすれば相手の心が動くか」をおさえる必要があることを説く。


川上は、「何を伝えるか」については、「ファクト」「メリット」「ベネフィット」の3つの重要性を説く。ファクトは、事実すなわち伝えたいポイントである。メリットは事実から得られる一般的に良いことである。そしてベネフィットは、事実から得られる受け手にとってのハッピーだという。特に、メリットの部分が大切である。なぜなら、人は「自分のこと」しか反応しないからである。したがって「自分のこと」として捉えてもらうために「受けてのインサイト(本音)」を探り当てることが大切だと説く。


上記のような視点に立ったうえで強い文章を書くときに最も重要なのは、「タイトル」や「キャッチコピー」であるという。受け手の本音をつかみ(インサイトを読み取り)、その人が「自分のハッピー」と思えるようなベネフィットを「受け手の心をつかむ言葉」で伝えるわけである。そのために、「パンチのある強い言葉を使う」「相手の心にむりやりにでも興味を作り出す」「思わず口にしてしまうリズムやゴロを意識する」ことの重要性を川上は説くのである。