人を動かすポジティブ・クエスチョン

谷原(2009)は、質問力を身につけることは人生で成功する力を身につけることに等しいという。人生で勝利するためには質問をすることであるとし、人を動かそうと思ったら、こちらの望むような道順で思考してもらうように質問をしていくことが重要だと説く。なぜなら、質問には思考を強制するパワーがあるからである。人は質問をされると、1)思考し、2)答えてしまう。これを利用すれば、質問によって相手を強制的に特定の方向で考えさせることができる。こちらの意見を押し付けることなく、相手が動きたくなるような質問をするのである。


相手がポジティブな方向に思考するように誘導する質問を「ポジティブ・クエスチョン」と呼んでいる。そして、あらゆるネガティブな質問は、ポジティブな質問に変換できるし、するべきであると説く。ポジティブ・クエスチョンは、相手の立場に立ち、相手がどうすればよいかを一緒に考えていく姿勢で質問をする態度を指す。「どうなったらできるようになると思うか」「そのためには何をすればよいと思うか」というような質問では、「できる」というポジティブな言葉が含まれている。一方、「なぜできないのか」「どうしてダメなのか」はネガティブ・クエスチョンである。ポジティブな側面を見失いそうな人に、それを思い出させるような核心をついた質問をすることも効果的であるという。


これは、自分に対しても同じである。自分に質問をすることによって、自分を変えることができる。自分を望ましい方向に動かすことができる。自分に対して良い質問をすれば、良い方向に思考が回転していくわけである。人生で成功するためには自己コントロールが不可欠だが、その一番の近道が自分に良い質問をすることだと谷原はいう。


谷原によれば、偉大な成功者に共通する行動法則は、1)目標を設定し、2)行動を起こし、3)成功するまでやりぬく、ことである。この3つを実現するには自分の感情と行動をコントロールし、いつも目標に向かって突き進む必要がある。そのために、何を目標にするのか、それをいつまでに達成するのか、どうやれば達成するのかを自問するのである。「何が問題なのか」「どうしてできないのか」ではなく、「どうすればできるだろうか」という質問がポイントなのである。