アイデアを生み出すもっともシンプルかつ本質的な方法

ヤング(1988)は、アイデアを生み出すことには、その「原理」と「方法」があるという。この2つを理解し、技術を磨けば、効果的にアイデアをつくりだす能力は高められるというわけである。


ヤングによれば、アイデアを生み出す原理は2つある。1つは「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということである。もう1つは、「既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけだす才能に依存する」ということである。


イデアを生み出す「方法」については、工場で車を製造するのと同じように明確な方法があるとヤングはいう。それは5つの段階から成り立つ。第1の段階は、資料を収集することである。第2の段階は、資料を咀嚼することである。この2つを一所懸命にやっても明察は得られない。そして第3の段階として、孵化段階がある。ここでは直接的には努力しない。問題を完全に放棄する。すなわち、いったん問題を意識の外にはずし、無意識の創造過程を刺激する。


上記の第3段階では、問題を完全に放棄して、何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに心を移す。第1段階で食料を集め、第2段階で咀嚼し、第3段階として消化過程に入っているといえる。そしてついに、アイデアが誕生する。その到来を最も期待していない時、ひげをそっているときや風呂にはいっているとき、に現れたりする。これは第4段階である。そして、最終的にアイデアを具体化し、現実の有用性に合致するよう、展開させる。これが第5の段階である。


ヤングは、このようなアイデアを生み出す方法に優れているのは「投機的タイプ」の人間だという。「新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている」ような人ということである。