マッスル・インテリジェンスを身に着けよう

古森(2013)は、経営者には「マッスル・インテリジェンス」が求められるという。なぜ多くのリーダーが、スピードやダイナミズムを見誤ってしまうのか、なぜ思い切って勝負することに二の足を踏んでしまうのかは、マッスル・インテリジェンスが足りないからである。やると決めたら、スピーディに、ダイナミックにやるというのは、頭がいいからできるものではなく、ある種の野性的な勘、力が求められる。これが「マッスル・インテリジェンス」である。これがあるかないかは、経営者にとって大きな差であると古森はいう。


古森によれば、この力は、決して勉強で身につけられるものではない。子供のころから、海で泳いだり、潜ったり、山に登ったり、チャンバラごっこをやったり、喧嘩をしたり、そういうことの積み重ねが、本能・直感を磨き上げていくのだという。大人になってからこれを鍛えるのであれば、日々の仕事でスピードやダイナミズムを意識して仕事をすることによって感性を磨くということである。


古森の持論は「世の中は、すべて戦いであり、競争である。それが、社会の原理である」というものである。ライバルや敵との戦い、時代の流れとの戦い、運命に対しての戦い、困難に対しての戦い、壁や因習に対しての戦い、そして自分の弱さに対しての戦い、このように世の中のすべては戦いなのだという。そこには「勝ち」「負け」が生じる。体を鍛え、知恵を絞り、闘争心を掻き立てて戦い、その結果として栄枯盛衰があり、進歩や退歩が起こる。これが現実であり、この現実と向き合う必要があるという。


闘争心を持ち、チャレンジスピリットを持たねばならないと古森はいう。負けないために、基盤となる力を養うことである。基盤となる力とは、本当の実力となりえるものであり、強い頭脳、強い心や強い身体である。基盤になる力、真の実力を養い、蓄えることが実に重要であり、それがあれば、何が起きても、何をしようにも良いパフォーマンスを生み出せるというのである。