G企業(グローバル成長企業)になるためのLEAP

名和(2016)は、日本企業がグローバル成長企業へと進化するための方法を、「21世紀の勝ち組、トップ100社」としても認知されているG企業(Global, Growth, Giants)に備わっている特徴を網羅したLEAPというフレームワークを用いて解説している。


名和によれば、G企業の共通点は、堅牢性(しつこさ、こだわり)と変容性(身軽さ、融通無碍)の両方を兼ね揃えている。すなわち、静的に構造的に強いのと同時に、ヘビが脱皮するように、どんどん変容していく会社だということである。構造(=堅牢性)と力(=変容性)を兼ね揃えているといってもよい。また、堅牢性と変容性という二律背反的な性質を「兼ね揃える」ということがポイントである。二律背反的な要素をどう両立するかについては、まずはどちらかの軸足をしっかりと持ち、その軸足と二律背反する片方の特徴を取り込んでいくという「複雑性経営」が求められると名和は指摘する。


上記のように、名和の提唱するLEAPも、「構造的な強み」と「破壊的な動き」の2つの二律背反的な特徴が備わったものとして理解できる。

L: Lean(リーン[筋肉質])× Leverage(テコの原理[周りを活用])
E: Edge(尖り・突出力)× Extension(ずらし・応用)
A: Addictive(こだわり)× Adaptive(適応力)
P: Purpose(大義・志)× Pivot(一歩踏み出す)

名和は、上記の要素を持つ日本のG企業から学べることとしていくつかの要素を挙げている。例えば、「着眼大局、着手小局」である。ファーストリテイリングのように、誇大妄想のような「着眼大局」的なメッセージを発信しつつも、実際の行動は「着手小局」で現場での地道な取り組みを大切にしているという。また、リクルートは、これまでいろいろなことをやってきた身軽さを重視した経営から、多くの社会課題の中から自分たちが最も力を出せる領域を見つけ、爆発的なパワーで新しい仕組みを作っていくという「社会課題解決企業」を目指していると指摘する。社会課題に能動的にかかわりあうことで課題解決を加速していくというダイキンコマツの例も紹介している。