サラリーマン人生を豊かで幸せにする「ビジネスをつくる仕事」

小林(2013)は、いまの日本でいちばん幸せな仕事とは、どの業界、どの会社に属しているかとは関係なく、自ら創造的にビジネス(持続的に新たな価値を客に提供しつづけること)をつくり続ける仕事ではないだろうかという。人気の高い業界や会社に就職することよりも、就職を「ビジネスをつくる仕事に就いた」と考え、ビジネスをつくる力を磨こうと心がけたほうが40年の長いサラリーマン人生が良いものになるというのである。


その理由は、まず、現代の社会ではサラリーマンの寿命のほうがビジネスの寿命より4倍も長い。どこに行ってもビジネスをつくる技術と実績があれば、社内で異動になってもやっていけるし会社がつぶれても転職先で活躍できる。また、日本ではベンチャー起業よりも社内で新しいビジネスをつくるほうが向いている環境にある。現場の担当者が創意工夫をして大なり小なりのビジネスを創出していくボトムアップの風土があるため、普通のサラリーマンが会社の中で新しいビジネスをつくることができる。


会社とやや心理的距離をもちながら、現場のみんながそれぞれの持ち場である程度の自由と主体性をもってビジネスをつくるという創造的な仕事が、会社にとっても日本社会にとってもますます必要になると小林は言うのである。現代では、どこででもやる、なんでも新しいビジネスにトライする、という気持ちでなければサラリーマンも勤めきれない。よって、社会人になったあと、どんなビジネスにも何かしらの創意工夫を付け加え、ビジネスをつくれるようになることのほうが、長い目で見てサラリーマン人生を豊かで幸せなものにするのだと指摘するのである。