集中力をつける効果的なトレーニング

集中力はどんなことをするにも必要不可欠なポイントとなる。深い集中に身を置くことができることが、大業をなす条件でもあろう。これに関して、羽生(2011)は、集中力をつけるための効果的なトレーニング方法を提案している。


1つ目の方法は、何も考えない時間をもつことである。一日中動き回っていて、いざ集中しようと思ってもなかなかできない。したがって、逆説的ではあるが、何もかも忘れて、ただぼんやりしているだけの時間が大切だという。


2つ目の方法は、1つのことをじっくり考えることに慣れることである。慣れないことをすると疲れるが、慣れることにもっていくことで疲れにくくなれば、集中も持続しやすくなるという。しかし慣れすぎてしまうと集中しなくてもオートマチックに考えごとができるようになってしまうので、自分にとって不慣れなテーマを選んで、それについて掘り下げて考え、それに慣れたと思ったら止めて次のテーマを探すようにするのがよいと提案している。


3つ目の方法は、時間と手間のかかることに取り組むことである。例えば、源氏物語のように登場人物がたくさんいて何世代にもわたるような長編小説を読むことだという。たくさんの人物、背景、展開を記憶して理解しなければ前に進めないし、話としての連続性をとらえないとストーリーがわからなくなってしまうので、嫌でも集中して取り組まざるを得なくなるのだという。


また羽生は、「続けること」は偉大な才能だと述べている。継続は力なりということだ。毎日コツコツと練習を続ける。続けるためにはモチベーションを保ち続けることが必要だが、同じことを続けているとどうしても決まり切った枠組みの中に入り込んで煮詰まったり息苦しくなってしまったりする。そこで、ちょっと意表を突くような意外性のある出来事が生じるようにすると、刺激になったりするための大切なのだという。


基本の繰り返しが重要である。「千里の道も一歩から」というように、一つ一つの積み重ねによって目標に到達できるのではないか。そして、その繰り返しのなかにこそ大きな真理があるのではないかと羽生は言うのである。