インスピレーションを得るための方法

村上(2012)は、「ものづくりとは何か?」という問いに一言で答えるとすれば、それは「インスピレーション」だという。つまり、インスピレーションをどのように湧かせて、それをキャッチするかにすべてがかかっているというのである。


インスピレーションを掴む感覚は釣りと似ているが、プロであるならば、ただ釣り糸を垂らして待っているのではなく、周囲の地形を調べたり魚群探査機を使ったりするなどやれる限りのことをして最大限の収穫を求めるのだという。ただ待っているのではなく、そのための努力をしなければならないということである。


そして、インスピレーションを得るための方法論は人それぞれに違ってくるが、いずれにしてもそこで大切になるのは「徒労」だとう。努力を惜しまず、ムダなことや理不尽なことにぶつかるのも当然だと考え、それをするのである。それをやることに科学的な根拠があるのかなどと考えずにそれを続ける。持続する粘着性があるからこそそれができ、それを成功に結び付けられるのだと村上は言うのである。


村上の場合、スタジオに住み、24時間、365日に近い態勢で仕事を続けるという。スタジオにいればインスピレーションも湧きやすく、何かを思いついたときにすぐに作業に移れるからだという。