物理学という方法

米沢(2005)によれば、物理学とは「森羅万象の自然現象の営み」について、個々の現象の背後にある、共通の法則性を、事実だけを拠り所として、見出していこうとする学問である。すなわち、観測や実験から確認できることだけを拠り所として、理論を構築し、真理を見つけていくという方法論的原則に貫かれた学問である。


物理学では、森羅万象を説明する基本原理は、数学によって記述される。なぜならば「自然は数学という言葉で編まれている」というのが、古代からの科学者の信念であったからである。自然現象の解明に数学を使うのは、具体的な現象を定量的に論じるためである。そして、数学の方法が準備されていないときには、必要な数学を作り出すという方針が取られる。その例が、微積分の発明であり、物理学と数学は相互に影響を与えながら発展してきたといえるのである。