導入部を構成する方法

ミント(1999)によると、文書の導入部は、読み手がすでに知っていることを要約することによって、これから文書中で答えなければならない疑問を明らかにする。そうすることにより、問題や疑問に読者の注意を集中させることができる。


ミントは、導入部は、常にストーリー形式にするべきだという。まず、読み手に親しみのある既知の状況が設定され、そこに複雑性が発生し、その結果読み手に疑問が芽生え、その疑問に対して答えを出すのである。ストーリー形式は、読み手の知識をうまく整理してあげるのに便利な道具である。


導入部でやろうとしていることは、良い物語によって、読み手の主題への興味を高めてもらうことにある。「良い物語」には、必ず始めと中間と終わりがある。これは、状況を設定し、複雑化を明らかにし、解決を提案するということである。心理学的にいえば、本文で読み手と意見を異にするかもしれないことを伝える前に、まず合意するとわかっているものから伝えるとうことになる。つまり、読み手が既に知っているものから始めるのがよい。読み手は合意できるポイントからよどみなく読み始めることができるのである。


つまり、まずは「そうそう」「たしかに」とうように相づちを打ちながら読み進んでもらうことが、読者を引き込むコツである。そして、「しかし・・・」「ところで・・・」というように複雑化するにより緊張を発生させ、「何をすればよいのか」「どうすればよいのか」「どうして」など、疑問の引き金とするのである。


そして、疑問に答えるだけでなく、文書内容の展開を明らかにする「キーライン」を配置する。これにより、読者は、これから言おうとすることの全体像が明らかになり、それに賛成しようか反対しようかといった態度の決定も含め、次に読み進むための準備ができてくるのである。