ネゴシエーションの併せ技


単独で交渉した場合に相手に受け入れてもらうことが難しい案件の場合は、他の案件と組み合わせた「併せ技」で見事に承諾させるのがよい。


できれば、当該案件が小さく見えるような、相対的に重要かつ大きな案件、そして当該案件と何らかの関連性がある案件と組み合わせるのである。


この場合、交渉相手は、当該案件ではなく、組み合わせる対象となる大きな案件に注意が集中しているはずであり、そちらこそが大きな意思決定である。そして、交渉のクロージングに向けた動きの中で、「どさくさにまぎれて」最終合意案のメニューの「末席」に当該案件を紛れこませるのである。


つまり、交渉相手から見れば、大きな交渉に合意するにあたっての「おまけ」的な合意である。単独でもっていったらおそらく受け入れなかったであろう案件であっても、組み合わされた合意事項のオマケ的役回りに成り下がっていることによって、合意事項を確認しているさいに「こんなものまで入っているのか」とは思うかもしれないが、「まあいいか、ついでだから」というかたちで受け入れてしまうのである。