アインシュタイン力

茂木(2009)は、自らが幼少時にアインシュタインの本を読んだことで科学者を志すようになったことなどを紹介しつつ、偉大な事を成し遂げ、世界の見方の革命を起こしてしまうような「アインシュタイン力」を論じている。


茂木によると、アインシュタインは「感動するのをやめた人は、生きていないのと同じである」といっている。感動は、発見する歓びであり、創造へと向かう衝動でもある。科学の感動とは、何の役に立つかわからない、難しい問題を追求する暗闇の時間の中に隠れているものだとする。また、アインシュタインの人生は、大いなる勇気の物語であるとも言う。科学は本来アナーキーなものであり、科学の世界は、権威に抗する破天荒な「ロックンローラー」の集まりだったという。科学のロマンとは、権威に寄り添い「体制側」につくのではなく、今まで不可能と思われていたことや、常識では考えられないことを志向することだ。常識を踏みにじり、革命を志向する勇気が必要なのである。


茂木は、アインシュタイン力を10に分けて説明している。1つ目が「反発力」。といってもただ反発するのではなく、自分が信じるものを肯定し、粘り強く追求する力である。2つ目が「見えないものを見る力」。彼の卓越な思考実験に表れている。3つ目が「粘り強く考える力」。根源的な問いを発し、それを突き詰める。4つ目は「平等力」。彼は誰とでも対等に接していた。5つ目が「ユーモア力」。自分をも笑い飛ばす力が創造力の原動力となっていた。6つ目が「浮世離れ力」。7つ目が「方程式力」。8つ目が「信じる力」。9つ目が「自立力」。そして10番目が「友人力」となっている。