成功するための条件

藤田(2009)は、自らの経験を踏まえ、仕事を通じて成長して成功していくための要素を紹介している。例えば、目標の立て方である。目標を立てるときは、ボトムアップで考えてはダメ。自分の今の力からして、これくらいはいけるだろうと思って考えた目標はプラスアルファが出てこないからである。「こうしたい」「こうなりたい」という、意欲的で高い目標を持つこと。「到底無理」な目標が、成長を促すのである。そして目標については、期限を設定すること。目標や期間を周囲の人に宣言して、自分で自分を追い込む方法もある。そうすることによって、継続して努力するプロセスに「はまる」ことができる。


集中力も大切である。集中力がある人は、「ほかのことを切り捨てる」ことをかなりやっている。思い切って他のことを切り捨て、「ゾーンに入る(自分の世界に入る、はまる)」状態を作り、集中力の高い状態を継続させる。意図的に自分が仕事にはまる状況を作ることが大切だと藤田は指摘する。


メモを取ること。記憶力を過信すると大きな失敗をしかねない。しっかりメモをとる習慣を身につけること。環境を整えること。優れたマネジメントをする人や成功する人は「まず環境を整えていく」という特徴があると藤田は言う。ネーミングやスローガンに知恵を絞り、心に残る言葉を作り出すのも重要である。頭をひねって必死に考えた言葉には、人を引き付ける力が宿るものだからである。そして、お金については「使う派」が成長できるという。もちろん、後にお金を生み出す「生きた使い方」である。若いうちは特に「貯めるよりは使う」ことによって、生きたお金を使うための判断力を磨くのである。


また、出世や成功の条件の1つとして、「孤独」と「批判」に強いことが挙げられると藤田は言う。この2つは成功者になるうえで絶対に避けて通れないからである。これらは先天的である必要はなく、孤独な局面、他者からの批判に直面することを何度か経験し、それを乗り越えるうちに身に着ける、すなわち、経験を重ねながら身につけるしかないものでもあると言う。