物語の型(パターン)

石原(2007)は、小説などの物語には型(パターン)があるという。例えば、内(自分のいる場所、秩序のある場所)と外(自分のいない場所、向こう側)、そしてその境界領域とに分けるならば、旅行は、内から出発して外の目的地に向かい、その過程である境界領域でいろんな事件が起こりやすい。物語はこの境界領域を好んで書かれる。子供から大人へとう物語であれば、著者である大人の視点からみて外から内にやってくる境界領域が「青春」であり、そこでさまざまなことが起こりやすい。よって青春時代を書いた小説が多いという。要するに、内、外、その境界領域を主人公が行き来するのが物語である。


石原が紹介する4つの物語の型は、(1)浦島太郎型(内から外へ出かけていって再び内に戻ってくる物語)、(2)かぐや姫型(外から内に来て、再び外へ帰っていく)、(3)成長型(子供が立派な大人になっていくなど。外から内)、(4)退行型(一般的な大人が子供心を取り戻すなど。内から外)である。これ以外に、はっきりした結末がなく、この先どうなるかが読者に委ねられるオープンエンディング型もある。


また石原は、ロラン・バルトの説を紹介し、物語は一文で要約できるという。例えば「〜が〜になる物語」「〜が〜をする物語」のように。これにしたがってさまざまな物語を抽象的に要約すれば、お互いは類似してきて、結局先ほどの4つの型のどれかにおさまってくるだろうという。