小飼(2009)は、仕事を進化させる仕組みづくりについてさまざまなノウハウを紹介している。小飼によれば、コンピュータが行う仕事の仕様書=プログラムを作るプログラマは、仕組みづくりの達人であり、学ぶところが多い。例えば、「同じことを自分では繰り返さない(自動化する)」「仕組みには名前をつけて(検索しやすくして)再利用する」「できるだけ自分でやらず自動化したり他に任せる」「今後起こりうる問題を想定した仕組みを作る」「インプットとアウトプットを持つ機能に注目する」「仕組みのメンテナンスをし続ける」などがある。
小飼(2009)は、仕組みによって仕事を進化させるための「20%ルール」を提唱する。これは、従来の仕事を20%でやり、残りの80%を新しい仕組みの開発に費やすということである。従来の仕事を片手間(=20%)で行えるようにすることが必要である。新しい仕組みづくりに80%も必要である理由は、新しい仕組みは簡単にできないので、リスクヘッジの意味もある。2割の労力でとりあえず食い扶持が稼げるのであれば、余った分で大いにリスクが取れる。新しい仕組みをつくる仕事は、究極的には「遊び」と区別がつかなくなるといも言う。それは楽しいが、ラクではないだろう。
また、小飼は、仕掛品を作っておくことの重要性を説く。つまり、「あと1ピースがあれば実現できる」ところまで物事を具体化した仕掛品を作っておき、必要なピースが出てきたらすかさず取りに行くことも重要だという。夢は夢のままではいつまでも実現しない。今できるところまで具体化しておき、今の時点でできない壁(残りの1ピース)は、将来ブレークスルーがあって利用可能になったときにすかさず利用するのである。