タレントマネジメント

タレントマネジメントとは

企業が、自らの描く経営戦略を実現し、競争力を獲得するために、必要なときに、もっとも適切な人材を、もっとも適切なポジションに配置し(適材適所を実現し)、企業で働くひとりひとりの人材が、本人のもつポテンシャル(才能・タレント)を最大限に発揮しつづけることを可能にするマネジメントである。企業にとって必要な人材(タレント)の需要に、タイミングよく人材(タレント)の供給をマッチさせつづけるために、企業外部の労働市場および企業内部の人材育成や配置転換を、滞りなく行っていく人材流(タレント・フロー)のマネジメントもタレントマネジメントの重要な機能である。

なぜ「タレント・マネジメント」なのか

タレント・マネジメントのコンセプト自体は、とくに目新しいことではない。しかし、なぜ今、タレントマネジメントなのかというと、上記であげた、ごく当たり前のタレントマネジメントが現実にはなかなかできていないということである。例えば、会社で、全員が自分のもつポテンシャル(才能)を最大限に開花させて、生き生きと働いているだろうか。そうではあるまい。そこかで人材流が滞り、昇進がストップしてしまってくすぶっている社員、絶好のタイミングで適材適所ができていないがために、自分の才能を十分に発揮できる仕事や環境下にいない社員、つまり才能と仕事とのミスマッチ状態が続き、転職を希望している社員、あるいはすでに辞めてしまった社員など、むしろ、タレントマネジメントができていない会社が圧倒的多数を占めるのではないだろうか。

なぜタレントマネジメントができないのか

例えば、必要なときにもっとも適切な人材が、もっとも適切なポジションに配置されるためには、社内においても滑らかな人材フローがあるべきである。しかし、人材フローの入口であるところの採用部分では、多くの企業が場当たり的になっている。景気が悪くなれば(将来、少子高齢化で労働者不足になるとわかっていながら)採用を抑制し、極端に新入社員の数を絞る。そうかと思えば、団塊世代の大量離脱という言葉に踊らされて、あるいは近年の好景気の影響で(おそらくこれからは景気が悪くなって企業の人材が余ってくるかもしれないのに)大量に新入社員を採用したりする。景気の変動に受動的に反応して採用を増やしたり減らしたりしているから、企業内の年齢構成もでこぼこになり、ポジションが不足して滞留している層や、逆に人材が不足してやむなく中途採用で補充している層など、バラバラになりがちである。これでは、タレントマネジメントを適切に行っているとはいえない。