戦略的タレントマネジメント

戦略的にタレントマネジメントする

タレントマネジメントを戦略的に行うとはどういうことだろうか。企業は、自社に大量のタレント・プール(つまりポテンシャル・才能の塊)をかかえている。このタレント・プールが最大限に働けば、企業としてはフルパワー(エンジン全開)状態になるわけで、それがビジネスの推進力になることは間違いない。しかし、それだけでは「戦略的に」タレントマネジメントをしているとはいえない。


タレントマネジメントの目的は、あくまで、企業の生み出す価値を最大化すること。ビジネスの場面については、もっと平たくいえば、企業利益を最大化すること。だから当然、タレントを企業価値に結びつけるさいの費用対効果を最大化しながら、かつ、他社と違った優位性を生み出すように人材のタレントを活用していくことになる。

タレントの質と量を操作し、戦略にあわせる

タレント・プールは企業内部にのみあるのではない。企業外部の労働市場にも、自社にとって重要なタレントをもった人材が浮遊しているかもしれない。大事なのは、企業外の労働市場で浮遊している、あるいは浮遊しかけている他企業の人材であっても、そういったタレントを、必要なときに必要なタイミングで獲得して活用することができるかどうかということである。つまり、タレントのジャストインタイムが可能であるかどうかである。そういった、企業内外に存在するタレントプールについて、どこをどうすればより企業の利益があがるのかを考えながらマネジメントしていくのが戦略的タレント・マネジメントである。

タレントプールにメリハリをつけていく

戦略的というからには、それが他社とは違ってユニークであること。他社との違いを生み出すことができなければ、他社よりも競争優位な状態になれない。だから、他社では真似できない部分の力を入れるために、あえて他社とは違ったタレント(才能・人材)を投入する。他社よりも多めにそういった人材を採用したりするわけである。自社が大事にしたいタレントについては、そういったタレントを持つ人材を「戦略的に」優遇する必要もでてくるだろう。より高い報酬、手厚い教育訓練の提供など。逆に、思い切って手薄にするタレント部分(つまり自社はそこでは勝負しないと決め込む部分)については、逆の方法によって、市場への流出を促進したりしながら、企業全体のタレント・プールの新陳代謝を活発化するという方法も考えられるであろう。