世代交代と組織変革

多くの組織では、古い世代から若い世代まで、一様な連続性を持っており、その結果、組織の人材に同質性、均質性が見られることはむしろ少ないのではないだろうか。例えば、不景気や会社の業績不振などによって、一時期新卒採用を抑制したりすることによって、層の薄い年次ができ、そこが組織内の人口構成上、世代の溝となるケースが考えられる。あるいは、採用方法や採用基準がある時点で変化することによって、人材の特徴に不連続性が生じるかもしれない。


本当に組織が均質的・同質的であるならば、変革に対する抵抗も強く、組織変革は難しいかもしれない。しかし、多くの組織がそうでないとするならば、思っている以上に組織変革が進む可能性は高い。ただし、とりわけ若い層による世代交代としての組織変革を期待する場合には、若い層がじっさいに実力を持ち、企業を支える存在になるまでにはかなりの時間を要することを忘れてはならない。例えば、新卒で入った社員が、世代交代による企業変革の主役になるまでには、少なくとも10年はかかるだろう。


なんらかの理由で、組織内に世代の溝ができた場合には、その溝がさらに深まり、世代間の違いがはっきりしてくることもある。例えば、特別に強い世代が、その前後の世代を駆逐してしまったり、自分達の世代に引き入れてしまったりするケースが考えられる。


このような形で、組織内に旧世代・新世代のような断絶が起こると、新世代が力を貯えてくると、ある時点で、急激な組織変革すなわち世代交代が実現するかもしれない。そして、それが企業の業績不振や古い考え方を一掃し、企業にとって、新たな生まれ変わりの契機となるかもしれないのである。