キャリアに生かす編集術

編集術はコンテンツではなく「方法」に関するものである。キャリアも、どのような成果をあげたのか、成功したかどうかいう「結果」や、どの業界で働くのかといった「内容」よりも、その「方法」や「プロセス」が大切である。

編集術とは、われわれがどのように世界とかかわるかという「方法」に目を凝らそうという、いわば「気がつかなかった方法を気づくための方法」というものである。もう少し突っこんでいえば、世界をすべからく情報世界とみなし、その情報を「すでに編集されている部分」と「編集されにくかった部分」とに分け、その両者を串刺しにして通観できる方法を自在に明示化してみようというものだ(松岡 2000:156)。

この(編集八段錦)の流れの特徴は、大きくみると、「情報を集めて特色を発見していく編集」と「それをもう一度背景や参照系にひきあわせてする編集」と「そこに含意や比喩をあてはめていく編集」という、三つの組み立てになっているということである。・・・最後の八段目に「語り手を突出させる編集」という段階があって、・・・実際には四つの編集の組み合わせになっている(松岡 2000:206)。

略図的原型:

  • ステレオタイプ(典型性)・・・特定の何かや誰かに代表されるモードや「らしさ」
  • プロトタイプ(類似性)・・・一般化できる概念としてのモードや「らしさ」
  • アーキタイプ(原型性)・・・文化や文脈の奥にひそむモードや「らしさ」

略図的原型というものはいくつかのタイプ(らしさ)の組み合わせによって成立しているもので、これらをつかってわれわれは「らしさ」や「ぽい」を見分け、演出し、生活の知恵にしてきたのであった(松岡 2000:116)。

「・・・らしいキャリア」とか「〜っぽいキャリア」といったキャリアのモードや様相も存在するだろう。ある略図的原型(あるいはもっと単純に「型」)から出発して、モディフィケーションを重ねながら、徐々に自分のキャリアを編集していくという方法もあろう。

文献

松岡正剛「知の編集術」講談社現代新書


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