VUCA(ブーカ)時代に求められるのは「構想力」「人間関係構築力」「実行力」

作佐部(2014)は、ここ数年、世界は「VUCA(ブーカ)」時代と呼ばれていると指摘する。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が増す世の中だということを意味している。要は、先の見えない変化の時代が続いているということである。


このような時代におけるハイパフォーマーに求められる条件は、「従来の成功や業界の垣根にしばられず、新しい価値観や枠組みに従って構想し」「その実現にあたっては、多様な価値観を持つ人財や組織と協働しながら」「素早くプロトタイプをつくって市場に投入し、顧客の声をもとにつくり込んで完成度を高めていく」一連のサイクルを早くまわせることだと作佐部はいう。つまり、これからの時代のハイパフォーマーに求められるのは「未来を描く【構想力】」「多様な人財を活かせる【人間関係構築力】」「成果を出すまでやりきる【実行力】」というわけである。これらをもとに「チームで戦う」ことができる人材が求められている。


では、どうしたらこのような人材になれるのか。作佐部は、ハイパフォーマーには誰でもなれるとした上で、ビジネスの世界で高い成果を出す人はシンプルな発想をしていると指摘する。シンプルな発想やルールに従っているから、決断も速く、誰よりも高い成果を出せ、成果の再現性も高いという。このシンプルな発想・ルールとして何より大事なのは「自分がどうしたいか」だという。自分の軸を作って進んでいけるということである。そして、やると決めたら、後先を考えずに、まずは行動する。そして、他の人では代わりができない、唯一無二の存在になることを目指すべきである。その際、成長というものは、投下時間との比例関係にあるのではなく、ある閾値を越えると急速に跳ね上がるという性質を持っていることを知っておくべきである。


さらに作佐部は、日々進化するために「学び続けるプライド」を持つことの重要性を論じる。厳しい状況や課題であっても自信を持って使える武器や強みは何かを考え、「注力すべき」ことと「やめるべき」ことを決め、注力すべきことに集中する。「私は○○を専門にして、○○のために、○○という価値を届ける」という軸を決め、広い世界で活躍できる専門家を目指すことである。そして、1%でもいいから、自分の実力を超えたところで仕事をし「境界を超えて学んでいく」ことが大切であると作佐部はいう。