柔らかアタマをつくるには算数が最適

竹内(2006)は、数学ではなく算数の問題を解くことが、柔軟な思考(しなやかなアタマ)をつくることを示唆する。数学が、どちらかというとマニュアル的にひとつの方法だけで問題を解くことに陥りがちなのに対して、算数は同じ問題をいろいろな側面から解くことにつながる。マニュアル思考のように発想法がひとつに限定されてしまえばアタマを堅くし、臨機応変に状況に対処できない原因となる。よって、数学的にではなく算数的に同じ問題を異なる方法で解く努力をすることが有効なのだという。


例えば、算数の問題を解く場合の特徴の1つに、「大まかに問題をとらえ、それから必要な修正を加えていく」というものがある。類似する方法としては「平均的なこたえ(近似)から試行錯誤により修正していく」「もし・・・だったら」と仮定してやってみて、それで計算が合わないところを修正していく」というのもある。これらは実人生のあらゆる場面で応用がきく発想法・行動法だと竹内はいう。


次に、図を使って問題を視覚化するという方法がある。その際のコツは、最初から精確に描こうとしないことだと竹内はいう。デッサンのような軽い気分で、あるいはフリーハンドで情景をスケッチするように、模式図を描いてみる。そして、必要に応じてより精確なグラフを描くようにすればよいという。


また、いきなり問題にとりかかるのではなく、全体像を把握して戦略を練るということも算数の問題を解く上で重要である。なぜなら算数では、パターンを見つけると容易に解ける問題が多いからであり。それは発想法の観点から見れば「全体像をみる」「物事を大局的に見る」ことにあたるからである。このような発想法は人生のあらゆる曲目で大切になってくるだろうと竹内はいう。とりわけ、コツコツと計算していくと、あるとき確固たるパターンが見えてくることがある。コツコツと物事に取り組むことについても、最終的にはパターンを見つけるのが大事というわけである。