一生をかけて成し遂げる仕事

一生をかけて成し遂げたい仕事はあるだろうか。別の言い方をすればライフワークである。一生をかけて成し遂げたいことがあるということは、この世に生まれてきた意味とか使命は何であるか自分なりの答えを持っている、あるいは生きがいを持って人生を生きているといってよいだろう。


とはいえ、私たちは、資本主義という社会システムの中で生活している。自分の成し遂げたいライフワークが、資本主義と愛称がよければ、それはそのままお金も稼げる仕事ということになる。自分のやりたいことで飯を食って行けるのであれば幸せだろう。しかし、自分の成し遂げたい仕事が、必ずしもお金儲けにつながらない場合もあるだろう。


その場合は、ライフワークをやるための経済的安定が必要となってくる。よって、やりたいことを不安なく行えるための蓄財をしなければならないだろう。その見本として、久恒(2003)は何人かの歴史上の人物を紹介している。


例えば、ひたすら働いて巨額の富を得たのち少年時代からの夢であった遺跡発掘で残りの人生を費やしたシュリーマン、きまじめな株式仲買人として仕事を続けたのち、ある日突然絵を描きたいといって仕事をきっぱりとやめ、画家としての人生を送ったゴーギャン、37歳までに一生暮らせるだけのお金を蓄えたうえで、哲学者に転じて一生を送ったヒュームなど、みな経済的安定を獲得してから思う存分、自分が成し遂げたい仕事に没頭したのである。