「好きになられる能力」が成功の真の要因

松崎(2015)は、「好きになられる能力」こそが、成功の真の要因だと指摘する。それは何故かというと、私たちはいくら実力があっても、専門分野で優れていても、人から選ばれることがなければ運のない人生を歩むことになるからである。自分をサポートしてくれる人がいなければ、出世することもできない。仕事だけでなく、恋愛や友人関係でもそうだが、私たちは、相手から好意を持ってもらい、選ばれることなくして、人生の成功を実現することはできないのだという。


そもそも、成功の要因を考える上で押さえておくポイントとして、まず、「自分にとって大切なことは、自分以外の人に決められている」ということが挙げられる。そして、次に、「そのような(自分以外の)人は、それを感情で決めている」ことが重要である。例えば、重要なお客様に、自分が正しいことを主張しても、そのお客様は、論理でなく感情でものごとを決める。感情的に受入れなければ、自分の主張は通らない。このようなポイントで重要なのが、相手に好感を持ってもらうことすなわち「好きになられる能力」なのだと松崎はいうのである。


では「好きになられる能力」とは具体的には何を指すのか。松崎によれば、それは「人の気持ちを前向きにする能力」である。この能力を高めるうえで忘れてはいけないことは、人は誰でも「認められたい」「大事にされたい」「気にかけてほしい」と望んでいるということである。人は、誰かに認められている、大事にされている、気にかけてもらっていると感じれば、その人に好感を持つ。よって、その人は好意的に扱ってもらえることになるのである。仕事で一緒の人であっても、生活を一緒に過ごす人であっても同じである。


そのため、「好きになられる能力」を高め、人に好感を持ってもらい、好かれようとするためには、自分が相手を「認めている」「大事に思っている」「気にかけている」ことを上手に伝える必要があると松崎はいう。このことを踏まえたうえで、例えば会話において、「相手の感情に触れる一言」によって、お互いの相手の気持ちを前向きにすることが重要である。