人事部を会社にたとえると?

人事部を会社に例えると、誰に、何を(どんな価値を)提供して、対価をえる経営体といえるのだろうか。


人事と近い機能としてはシェアードサービスがある。これを会社としてみるならば、お客さんはグループ企業。グループ企業に、給与計算や福利厚生などの事務作業の請負サービスを販売しているといえる。


では、人事部にとって、顧客は誰か。その顧客に、どんな商品、サービスを売るのか。


人事部にとっての顧客は経営陣で、経営陣に、企業内人材支配を代行しているのか。経営陣の代わりに、採用・異動・賃金・昇格などの意思決定を行うサービス業といえるのか。


それとも、人事部のお客さんは、従業員か。だとすれば、従業員に何を売って喜ばせる(そして対価をいただく)のか。実際には対価は生じないので、顧客たる従業員にサービスを提供し、それを感謝してもらうことによって、従業員が生き生きと働いて得られるプラスの付加価値を生むことに貢献する。人事部がなければ生まれなかったプラスの付加価値分が、人事部の売上であるともいえる。


そういったサービスを提供できるならば、人事部は存続する意義がある。なければ、存在その物が疑問視される。つまり、誰もありがたがらないサービスを売っている会社は倒産する運命にあるということだ。


人事部を会社にたとえるならば、名称についても考える余地がある。人事部が、人事コントロール代行業ではなく、従業員を生き生きとさせ、仕事をしやすくするサービスを提供する部署ならば「社内おもてなし部」でもいいかもしれない。おもてなし部であれば、人事部に必要なのは、社内規律を監視する社内警備員ではなく、接客能力の高い部員ということになる。