日本的仕事管理の長所・短所

日本企業の正社員の場合、「ジョブなきメンバーシップ雇用」といわれるように、ジョブ(仕事)の概念が欧米とかなり違っている。一言でいうと、境界があいまいでかつ流動的な仕事概念だと思われる。


つまり、タスクがまとまって固定されたジョブ(仕事)およびポジション(そこに人が張り付く)という概念ではなく、タスクのみがあってジョブ概念がバンダリーレスなので、職場ではたらく個人に対し、状況に応じて柔軟にタスクを配分することが可能となる。


そうなると、優秀な人には難しいタスクを与えるというやり方がしやすくなる。そして、難しいタスクを与えることは一種の報酬として機能する。仕事には仕事で報いるという概念である。だから、年功序列に近い賃金制度であっても、与えるタスク(仕事)に差をつけることによって、実力に応じた非金銭的な報酬格差を生み出してきたといえる。


これは長所でもあり短所でもある。長所としては、安定雇用、安定賃金の元で、実質的な実力主義成果主義となって、優秀な人材の満足度やモチベーションの向上が図れることである。しかしこれは、社内で個人に配分されるタスクもしくは仕事のクオリティーの格差が広がると同時に、量の格差も広がる。つまり、優秀な人に対して難易度の高い仕事が集中することにつながる。そうなると、本人が満足度の向上やモチベーションの向上を通り越して、過度なプレッシャー、心身への負担を強いることになり、バーンアウトしてしまう危険性を高めると考えられる。