ツルカメ算で論理的思考の本質を学ぶ

三田(2006)によると、小学校などで習うツルカメ算のやり方には、論理的思考の本質が隠されている。ツルカメ算とは「ツルとカメが合計12匹います。足の数は全部で38本あります。ツルとカメはそれぞれ何匹でしょう」というような問題である。もちろん、代数を使えば簡単に解けるが、ツルカメ算でやることに意味がある。


ツルカメ算が論理的思考の本質を含んでいる理由は、「全部ツルだとすると、足の数は・・・」という「ありえないケース」から出発するという点だ。そうすると、足の数が足りないから、1匹ずつ、ツルをカメに変えてみる。そうすると、カメが増えるごとに2本増えることから、法則性が見出せる。それを用いて答えを出す。


つまり、ありえないケースを仮定して、頭の中でシミュレーション(思考実験)をするというのが、論理的思考の出発点なのだと三田は指摘するのである。論理的思考は抽象的思考なので、ありえないケースも含めた抽象的な概念を頭の中で操作することにほかならないのである。ある課題の解決策をこれから考えるというような場合でも、ありえないことを思考実験するがゆえに、いままでなかった創造的な解決策を発見できたりするのである。