発見力を鍛える

小宮(2006)は「発見力=ものが見える力」だという。普段私たちは、見えているようで何も見えていないことのほうが多い。何万回見ても、見えないものは見えない。なぜならば、見るということは、カメラで写すこととは違い、自分の関心があるものだけを選択して見ているからである。例えば、歩行者の信号機の赤色は上か下か。ローソンの看板やロゴはどんなかたちか。身近な女性が髪を切ったときに気づいているか。私たちは、見ているようで実は見ていないことのほうが多いのである。


そこで小宮は、ものが見えるようになるにはどうすればよいかを説く。それはまず「関心を持つ」ことである。関心を持てば、それに注意するようになり、全体像なり、なんらかが見えてくるという。次に、「何を見るか」というポイントを押さえることである。分解して、見るポイントを絞る。関心を持つターゲットを絞ると見えやすくなるのである。そして「仮説を持って見る」ことである。「こうではないだろうか」「こうかもしれない」という仮説を持って見るということは、ものを見る際の判断基準を持つということなのだという。


つまり「幅広く関心を持ち、見るべきポイントを絞って、仮説を立てながら見る」ことによって、他の人よりもたくさん、ものが見えるようになってくるのである。それが、発見力、発想力、創造力、問題解決力などにつながっていくのである。