日本語の特徴

金田一秀穂氏は、著書の中で日本語の特徴をいくつか紹介している。例えば、日本語は「人間関係を表現するのが好き」だということだ。


日本語を勉強している外国人が「先生がわたしに日本語を教えました」と言うときに日本人は違和感を感じる。「先生がわたしに日本語を教えてくれました」ではないのかと。さりげなく使う「〜くれました」という表現には「先生は親切で、わたしは嬉しく思い、感謝しています」という気持ちが込められている。ただ教えた、教えられた、という事実のみを語るのではなくて、そこに上下の人間関係、また恩恵や感謝、温もりのようなものまで含んでいるのだと金田一は指摘する。


外国人が使う日本語がどこか失礼なものに感じられるのは、こうした湿り気を含んだ人間関係の表現ができていないからだという。


そして日本人は文字言語が好きである。道に迷ったとき、外国人なら通りすがりの人に道を尋ねるが、日本人はまず地図を見る。知らない人と話すのが苦手で、携帯メールを多用するように、音声言語よりも文字言語を使いたがるのである。