グローバルな実力を磨いて「人材仕分け」を乗り切ろう

ヤマモト(2011)は、グローバル競争の波は、日本人一人ひとりの耳元まで迫っており、日本人の中でもグローバルに活躍できる人材を選別しようとする「人材仕分け」が始まりつつあると論じている。日本企業であっても、今後の競争に勝ち抜くためには、「外国人活用」と「日本人からのグローバル人材輩出」という両輪が必要で、これが回りだせば、一般的な日本人ビジネスパーソンにとって、仕事の条件や競争相手が激変するというわけである。


ヤマモトによれば、人材仕分けにおいては、日本人人材は大きく3つに仕分けられる。「稼ぐ人」は、自分が勤める企業を仮に辞めても稼ぐことができる実力を持った人材で、リストラ社会を生き残る人である。「安い人」は、パートタイマーのように単純労働を切り売りする人で、職はキープできるが給料は低くなる人である。そして「余る人」は、これまでもらっていた給料に見合う働きができない人材で、仕事を失う人である。


グローバル化という視点の中では、稼ぐ人は、世界をまたにかけて活躍する「全球人」であり、安い人は、物価が安い国の人と同じようにローコストで生きる「現地人」であり、海外に長期滞在する人も含む。余る人は、日本国内にとどまるしかない「内国人」となる。そして、余る人として職を失うリスクの高い「内国人」となる可能性があるのが現在の「男性、大卒、正社員」なのだという。


では、外国人の中で仕事をして活躍する「全球人」になるにはどうすればよいのだろうか。ヤマモトは、3つを挙げる。1つ目は「語学・コミュニケーション力」である。これは、外国人に囲まれながらリーダーシップや交渉力を発揮して仕事をしていくためには当然である。2つ目は「人脈形成力」である。外国人との交流を深め、ネットワークのハブになったり、ブリッジパーソンになったりすることである。これらのネットワークを駆使して、グローバルな規模で大きな仕事を成し遂げるのである。3つ目は「世界情勢判断力」である。世界の歴史と地理の知識を豊富にすることによって、大局的、俯瞰的に状況を判断できることである。つまり「グローバル目線」で仕事をするわけである。


さらに、国際的に通用する専門性と汎用性を併せ持つことによって、自分だけのワザを持つことの重要性も指摘している。専門性については、「職能」「事業」「地域」の軸で、主たる守備範囲を定める。汎用性については、構想力、構造力、口動力に基づく「リーダーシップ」の重要性を説いている。