キュレーション:「つながり」の情報革命

佐々木(2011)は、現在進行しつつある情報革命の方向性を、「キュレーション」というキーワードを中心に、「つながり」の情報革命として論じている。それは、世界の情報を流通させる巨大なソーシャルメディアプラットフォームが出現し、その上に、無数の情報ビオトープ(情報を求める人が存在している場所、もしくは「生息空間」)が形成され、それらのビオトープに無数のキュレーター(視座を提供する人)が接続し、視座を提供していく。それらのキュレーターにフォロワーがチェックインして情報を受け取る。これから立ち現れれくるのは、グローバルなプラットフォームで、コンテツンやキュレーター、フォロワーなどが無数の小規模モジュールとなって存在し、その関係がつねに組み替えられる生態系である。


キュレーションとは、情報のノイズの海からあるコンテキストに沿って情報を拾い上げ、クチコミのようにしてソーシャルメディア上で流通させる行いであり、キュレーターは、収集し、選別し、そこに新たな意味づけをするという意味で、情報を司る存在である。収集される以前は膨大なノイズの海の中に漂う情報の断片でしかなかった存在が、キュレーターに拾い上げられることによって新たな意味を与えられ、別の価値をもって光り輝き始めるという。無数のキュレーターと無数のフォロワーが、一期一会のようなかたちで日々接続を繰り返し、関係が組み換わりながら情報の交換を行うような時代は、マスメディアが情報流通をコントロールしていた過去の時代とは大きく異なる社会現象をもたらすことになる。人と人とのつながりと情報の流通においてこれまでとは全く異なる社会が出現し、旧来の情報流通の常識は一切通用しなくなるということである。


よって今後数十年間に間に私たちを取り巻くメディア環境は想像もつかないほどに変化し、メディアも広告も、消費者も、まったく違う新世界の風景の中で暮らしているようになるだろうと佐々木は論じる。