手抜きの戦略性

「サボる技術」でも同様のことに触れてあるが、手抜きというと、ネガティブなイメージがあるのだが、手抜きを戦略的に用いることの重要性は大きい。


顧客志向を基本とするならば、顧客にどれだけ価値を与えられるかが勝負となる。極端な話、いくら時間をかけて作ったものでも、顧客がその価値をゼロと判断すれば、その価値はゼロであり、それに使われた時間は無駄になる。このような作業があるとすれば、それは顧客に提供する価値とは無関係であり、手抜きをするべきであろう。むしろ、手抜きをすればそれだけ時間や費用が節約し、顧客価値あたりのコストという意味での生産性が上がる。


したがって、まず考えるべきことは、いかにして顧客に多くの価値を提供するか。つまり顧客価値の創造に注意を向ける。そして、顧客価値の創造とは無関係な作業があれば、それを手抜きする(つまりなくす)ことが重要となる。顧客志向で、顧客の立場にたった価値判断ができなければ、顧客価値を生み出していないがなぜか存在する作業を発見できないので、このような手抜きができないわけである。


これは、ブルーオーシャン戦略におけるバリューイノベーションと類似している。顧客価値を高める新しい部分を見つけ、それを増加したり加えたりするのと同時に、捨てるべきものは減らしたらい削減する。それによって、総合的な顧客価値は高まり、利益の増大に結びつくということだ。


これくらいの価値の商品やサービスならば顧客はいくらなら支払うかという問いを一番最初に考える。そうすると、それだけの顧客価値を生み出すためにはいくらのコストでそれを実現しなければならないかが自動的に決まってくる。そうなれば、現在やっている作業のうちいくらかを手抜きしなければ、その目的が達せられないという事態に陥ることは珍しくないだろう。そこで頭をひねって戦略的な手抜きを考える必要がでてくるのであろう。


サボる技術
http://d.hatena.ne.jp/sekiguchizemi/20070828