論理的思考力の要諦

野矢(2006)は、論理学のもっとも基本的な、「命題論理」すなわち、否定・連言(and)・選言(or)・条件法(ならば)の導入則と除去則が関係する演繹的推論の体系を紹介している。


演繹的推論とは、前提が正しいならば必ず結論も正しくなるという推論である。よって、演繹的推論が正しいかチェックする便利な方法としては、前提を正しいとして、結論を否定したときに矛盾になるかどうかを調べることであると野矢は言う。


証明するとは、上記(否定・連言・・・)のような、出発点となる論理法則(公理)のみを用いて、他の論理法則(定理)を導くことで、これは公理系と呼ばれる。一方、妥当性とは、特定の論理法則に対して「判例が見出せない」性質を言う。導入則とは、何からその主張が導かれるかのプロセスで、除去則とは、その主張から何が導かれるかのプロセスである。


「・・・が存在する」という存在と、「すべての・・・」のすべて(全称)を用いた論理的推論の体系を、述語論理という。「全称と存在」は「全体と部分」に対応する。述語論理のド・モルガンの法則は「全称の否定←→否定の存在」となる。有言個数の対象を考えれば、述語論理は、命題論理となんら代わりがない。すべてを「かつ」(連言)でつなげば全称になるし、すべてを「または」(選言)でつなげば存在となる。無限の対象を扱う述語論理の場合には、量化(全称量化と存在量化)の導入と除去が命題論理の公理系に加わることになる。