ミステリーな量子力学

ガリレイが「自然の書物は数学の言葉によって書かれている」と言ったように、自然科学は、数学の力によって大きく発展したといってもよいだろう。あるいは、数学こそが、自然現象の本質的構造を表現していると考えられてきたといえる。
http://d.hatena.ne.jp/sekiguchizemi/20101226/
http://d.hatena.ne.jp/sekiguchizemi/20110116/


そのような発展の先に、量子力学があった。人間の目では観察できないミクロな事象を扱う物理学では、観測装置によって把握できるさまざまな物理現象を説明できるような数学的構造の構築がなされ、量子力学では、こういったさまざまな観測事実と整合的な数学的理論体系ができあがってきたといっていいだろう。


よって、その数学的構造は、自然現象の本質を表していると考えられるわけだが、その数式を解釈していくと、人間の直観や経験では理解できない(日常世界における常識ではありえない)ような現象が起こっていることになってしまう。しかし、数学的表現こそが現在の答えだということになっているから、非常識に思えてもそれがこの世界の本質だという結論にならざるをえないのである。これが、量子力学のミステリーだといえよう。


山田(2010)は、そんな量子力学のミステリーをわかりやすく解説している。たとえば、光は波でもあり、粒子でもあることである。波と粒子の定義や性質を理解すれば、「波であって粒子である」ことなど、常識的にはありえない。しかし、「波でもあり粒子でもある」とすると、観測されるさまざまな物理現象と整合するのである。また、光は粒子なのに質量がゼロである、波を表す関数には「虚数」が含まれている、など、人間の認識能力を超えたような力学が説明されている。