松下哲学:天分を全うする

北尾(2007)は、天分を全うすることの重要性について、松下幸之助の言葉を紹介している。松下幸之助によれば、人々には各々異なった生命力(生命の根底となるもの)が与えられている。それは「生きようとする力」と「いかに生きるかという使命を示す力」とに分かれる。


「いかに生きるかという使命を示す力」はひとによって異なるから、万人は皆、万様になっていく。つまり、皆、生まれたときから、違った生き方をして、違った仕事をするように使命が与えられている。このような生命力は、宇宙根源(天)の力によって人間に与えられた「天分」であるといえる。


だから、自分に与えられた天分を知り、その天分を完全に生かし切るということが、真の意味での成功だといえるのである。成功とは、世俗的な名声を得たり、財産を得るということではない。天分を全うすること、天分を完全に生かすことなのである。天分を知るためには、それを知ろうとする熱意・意思、そして素直なこころが大切だと松下幸之助は教える。