奥野流読書術

奥野(2008)は、長く付き合える本、つまり「座右の書」を探すことが読書の目的だといってもいいと指摘している。読書によって自分自身がつくられていく。どの本がどう自分をつくったのかという「読書体験」を「読書ノート」によって記録しておく。それがわかっていると、落ち込んだり、切羽詰ったときにも、本が心の支えになってくれる。


つまり、旅行のときに読みたい本、つらいときに読む本、そういった長く付き合える本を探すことが日頃の読書の目的でもある。切羽詰ったとき、精神的にまいっているときに、いざ元気の出る本を探そうと思っても遅い。そうではなく「この本を読めば、いつでもこういう気分になる」というシステムをあらかじめ組み立てておき、必要に応じて読む本を選べばよいのである。


また、奥野(2008)は、アウトプット志向の読書は、アウトプットすることを前提としてサーチ読みをするテクニックを紹介している。そのためには、読書のほかに積極的に講演や執筆を行なうことが大切である。人は、よく知っているからしゃべったり本を書いたりできるのではなく、講演をしたり文章をしたりするから(そのために効率的な読書=サーチ読みをこなすので)、より高度に知ることができるという。