「ひらめき」を生み出す発想法

内田(2008)によると、スパークとは、火花が飛び散るように、いいアイデア、発想が生まれる、ひらめくことをいう。ある事柄に問題意識や興味を持っているときに、ある現象に遭遇すると、その現象が触媒となって、自分がこれまで持っていた頭の中の情報(データベース)と化学反応を起こして生じるひらめきである。アイデアというものは、情報や知識が起こす化学反応のようなものであるから、その化学反応が起こりやすいように物事をとらえ、情報を頭の中に蓄え、熟成させることが重要だと内田は言う。


まず、ひらめきが生み出されるためには、頭の中のデータベースの充実が必要である。問題意識(興味、関心、好奇心なども)というフィルターを持って現象を見ると、情報が取捨選択され、重要なものに「レ点」(ひっかかり、インデックス)がついて頭の中に格納される。つまり、現象が問題意識をフィルターとしてデータベースに蓄えられる。問題意識に紐付けされた情報が頭の中にたくさん溜まっていくと、1つには何か新たな情報に接することで化学反応を起こす。溢れ出ることもある。つまり、現象が問題意識を触媒としてデータベースの内容と化学反応を起こす。あるいは時間が立つことで情報が熟成されて自ずと発想がひらめくこともある。いろんな情報を頭の中に放り込んでおき、しばらく放置しておくと、情報が熟成され(化学反応を起こし)、よい加減に仕上がることがあるのである。


スパーク(ひらめき)を得るために一番大事なのは「問題意識」である。問題意識は日頃接する情報を選り分けるフィルターになるし、頭の中のデータベースからスパークを生み出す触媒にもなる。問題意識を持って物事を見ることによって、何かひっかかりがあれば、脳の中の仮想データベースに「レ点」をつけておく。これはインデクシングすなわち見出しや索引をつける機能である。このレ点が、後々情報を活用しようとするときに、決定的な役割を果たす。見出しや索引は、頭の中の引き出しに入れておくのだが、そのラベル(タイトル)を思い出しやすいように工夫して付けておくのも重要である。ひらめきは、自分の脳のインデックスサーチから生まれるのである。


また、問題意識を持ち「なぜ?」を繰り返したりすることによって、発想の連鎖も生まれる。現象を見聞きするときに、興味が湧き(あるいは疑問が湧き)、新たな問題意識も生まれる。そのようなさい、いいかげんさを兼ね揃えた右脳をうまく使うのがよい。内田は、右脳と左右のバランスよい使い方において、以下の方法を指摘する。

  • 右脳で考え、左脳で整理する。
  • 右脳で発想し、左脳で確認する。
  • 右脳で散らかして、左脳で片付ける。
  • 右脳で発見して、左脳で解決する。

ひらめき(スパーク)やアイデアが生まれやすい「自分にとってのクリエイティブスペース」の確保も重要である。じっくりと考え事をしたり、アイデアをひねり出すのに最適な空間や時間帯である。そういう場所・時間を持つことが重要だと内田は言う。