「洞察力」と「発想力」

堀(2009)は、洞察力と発想力を以下のように説明する。

洞察力(インサイト)とは、本来、科学的に積み重ねていけばたどりつく、”因果関係”を瞬時に見通す能力である。カンという言葉に近いが、カンは洞察力よりも科学性が低く信憑性に欠ける。・・・これに比べ、洞察力はパターン認識や確率性といった科学的分析の瞬間的集合といった色合いが濃い。したがって、日頃、さまざまな事象に対しかなりの数量分析をこなしていないと磨くのが難しい(p112)。

直観的に仮説が見出せてもその裏には必ずロジックがある。直観と論理が両方一緒に出てくる。それが鋭い洞察力というものだろう。

「何か問題だと思うことに直面した時は、それは単なる現象だととらえろ。本当の問題はその奥にある。だが、その問題もまだ表面的なものにすぎず、その奥にもっと深い問題が潜んでいるかもしれない・・・(p108)」

このように物事の本質を見抜いていく力こそ洞察力にほかならない。

洞察力があくまでも観察の対象についてあれこれ深く掘り下げながら考えを進めていくのに対して、発想力の訓練の場合は「自分ならこうする」という具合に、具体的に考えていくようにする。それも、できるだけ新しいことを考えていくようにする。何ら既成概念にとらわれることなく、子供のように澄んだ目で自由に物事を見ることが大切である(p115)。