Hiring for the future: 未来志向型・仮説構築型の戦略的採用

日本の企業に対してはいまさら声高に提唱するまでもないが、欧米の空席補充型の採用においては、募集職務にフィットしているかどうかが採用の最優先事項となる場合が多い。しかし、大切なのは、いま募集している仕事にあっているかどうかよりも、将来どうその人物が伸びていくかである。


これは、必要となる人材をあらかじめ定めておいて、応募者がそれを持ち合わせているかをチェックする「仮説検証型」の採用ではなく、企業の将来を担っていくのはいま採用しようとしている人々だという前提に立ち、この人が加わったらどのようにその人が伸びていくか、どういう方向に会社を引っ張っていってくれるかを想像する「仮説構築型」の採用である。


戦略的採用というように、採用活動そのものが戦略策定プロセスなのであり、その人がもっているポテンシャルをよく理解することにより、そこから企業の将来的な方向性や戦略についての「洞察」が得られる。すなわち、この人が入ってこう成長したら、このようなスキルによって、こういった分野で、こういった方向に会社を引っ張っていってくれるのではないか、というような将来シナリオを、仮説のかたちで想像するのである。


そして、その将来シナリオに企業として自信が持てるようであれば、ぜひその人物を採用するということになる。ただし、これはその人物が長期的に企業に残って、いずれは企業を牽引する存在になっていくという前提に立っていることを忘れてはならない。