トヨタ自動車とマッキンゼー


トヨタ・ウェイの説明を聞くにつれ、業界は全く異なるが、トヨタ自動車マッキンゼーとがある面でとても似通った会社に見えてくるようになった。


それは、会社における仕事の本質が、問題解決にあるという点だ。トヨタは自動車製造業ではあるが、製造業そのものよりも、問題解決こそが自社の本質のような捉え方をしている。マッキンゼーはもともとコンサルティング会社であり、クライアントの問題解決を本業としている。


よって、両者の似ている面は、入社するなり、問題解決の方法を徹底的に学び続けるということである。マニアといわれるくらいに問題解決なのである。


では両者の違いはどこにあるかというと、トヨタの場合は、いまこの目の前にある問題を愚直に解決していくというマニアックさにある。だから、周りを見渡してどこかに問題はないか、ないと気持ち悪い、見つければそれを解決(改善)し、いまよりもよくする。社員全員がその精神で絶え間なく問題発見と解決を行なっているわけであるから、トヨタは日々進化している企業であるといえる。という感じだと思う。


マッキンゼーのほうは、特にクライアントにとってもっともインパクトのある問題を見つけ出してエレガントに解決するというやり方のようである。だから、どんな小さなものでも目の前にある問題を愚直に・・・ではなく、クライアントにとって、ここを押さえると劇的に業績が改善するツボは何かとか、トップが悩んでいるもっとも本質的な問題構造はどこか、というように、全体を眺めたうえでいちばん大事な部分、幹となる部分を見つけ、MECEの理念で、抜け落ちるところなく、かつ大雑把・大胆に問題を斬るというスタイルであろう。


これは業界の違いによるもので、トヨタの場合はオペレーションすべてが改善・進化していくことが重要で、大小かかわらずどのようなプロセスでも今日よりは明日、良くなっているという地道な積み重ねが大きな競争力になる。マッキンゼーの場合は顧客から高額なフィーをもらって限られた時間内で問題解決をするため、高額なフィーに見合う最もインパクトのある問題とそれを解決する手がかりの発見に注意を集中する。じっさいにその手がかりをもとに経営を行なうのはクライアント側である。