世界はチャンスで溢れている

シーリグ(2011)は、彼女が担当する起業家精神、創造性と革新に関する講義におけるもっとも重要なメッセージとして「問題はすべてチャンスに変えることができる」と言っている。つまり、あらゆる問題がチャンスであり、問題が大きければ大きいほど、チャンスも大きいというのである。これは、ベンチャーキャピタリストや起業家のあいだでは常識だというのである。


大きな問題はすべてチャンスであるのはなぜか。要するに、問題がなければ解決策を求めることもない。大きな問題を抱えていない人には、チャンスも訪れない。問題を解決しない人には、誰もお金を払わない。ここに起業家精神の本質とエッセンスがあるのだとシーリグは言う。


世界はチャンスで溢れているのである。問題があるからこそ、世の中には無数のチャンスがあることに気づくのであろう。一所懸命考え、行動し、挑戦してみるからこそ、そのチャンスをモノにすることができるのである。そのためには、未知の領域に踏み込む勇気とリスクを冒す覚悟が必要である。そして、基本的にゼロの状態から何かを生み出す。想像力と創造力が必要であるのはいうまでもないだろう。


また、起業家になって自分で運をつかむということは、驚くようなことを起こすということだとシーリグは言う。問題をチャンスに変えるだけじゃなく、本当に驚くようなことが起こせるという。勤勉や勤労は、幸運をつかむ1つの手段にすぎない。心を開いて楽観的になる。世界を特殊なレンズのセットを通して見てみる、誰か知らない人と出会う。チャンスはどこに眠っているかわからない。チャンスはいつでもどこでもあなたを待っていると。


失敗の方法を覚えることも重要だとシーリグはいう。失敗は成功のもとなのだから、素早く何度も失敗するのである。失敗することは問題ではない。そこから何を学ぶかがもっとも重要な問題である。失敗に耐え、何度も何度もトライしていく環境に自分の身を置くことが重要なのである。また、他の誰かが自分を選んでくれたり、指示を与えてくれたりするのを待っていては駄目である。自分は何ができるかを捜しあてなければならない。起業家は、自分の名刺を作るのである。自分で自分を社長と名乗るのである。


こうなってほしいという未来を想像する。想像できることであれば、実現できる。チャレンジ精神さえあれば、素晴らしいことができる。そしてシーリグは「光り輝くチャンスを逃すな」というメッセージを紹介して本講義を締めくくっている。